http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/domestic/election_irregularities/?1306482591
事件をめぐっては、接待があったとされる会費制の会合について「支持者が会費を払ったのに『払っていない』との供述調書に署名させられた」として、支持者側の弁護士が県警と地検に抗議文を送っている。
こうした公選法違反事件では、投票前から警察が内定を進め、立件するにあたっては、警察庁に報告した上、その地域の地方検察庁とも慎重に協議し、特に、当選議員の身柄まで引く、ということになる場合は、起訴に至るかなり高い見込み、見通しの下に(内偵段階で既にそれだけの証拠があるということになりますが)、立件、逮捕に至るのが通常です。警察庁としても、それだけの高い見込み、見通しがあり、検察庁も了承してくれている(起訴を確約まではしないものですが)ということで、ゴーサインを出していて、従来の捜査関係者の感覚としては、それが、ここまでガタガタに崩れてしまい、処分保留で釈放、というのは、あってはならないことで、関係者は悪夢でも見ているような気がしていることでしょう。
従来の悪弊は、そういう、あってはならないことはあってはならないのだ、警察庁にまで報告した当選議員の身柄事件に不起訴はない、と必死でストーリー通りの調書を無理矢理取まくる、ということで、起訴になっても、そういう無理を重ねているため、一旦、崩れると総崩れになり無罪、ということになりがちです。過去の選挙違反の事件で無罪が多いのは、そういった、駄目な捜査を駄目と認めず無理に無理を重ねたことによるものが非常に多いのが実情です。
そういった悪弊に照らすと、起訴を見合わせ、みっともないことは承知で釈放したこと自体は、起訴するよりはかなりマシであり、それなりに評価はできるように思います。とは言え、もっと早く、これは見込み違いだと気付き、身柄を引くのは見合わせるとか、勾留満期ぎりぎりまで引っ張らずに早めに釈放するとか、いろいろな人を嘘つき呼ばわりして嫌な思いをさせ負担をかけるのは避ける、といったことができなかったのか、そもそも、立件したという判断に重大な誤りがなかったのか、厳しい批判は免れないでしょう。
なお、先ほど、NHKのインタビューでも話しましたが、処分保留にはなっていても、今後、不起訴になる可能性は極めて高いものの(まず不起訴になる)、警察、検察庁のメンツを守るため、嫌疑不十分ではなく起訴猶予になる(嫌疑不十分的起訴猶予)、という可能性にも、かなり高いものがあると思います。供応接待を受けた側も、まとめて立件、在宅送致され、知らない間に起訴猶予にされてしまっているという可能性が高いでしょう。