http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110518-00000009-maiall-soci
九大は「女性研究者増は喫緊の課題。まず入学者を増やすことが必要」として女性枠導入を決め、数学科の12年度後期入試で募集人員9人のうち5人を女性に割り当てることにし、昨年3月に公表した。
しかし、「男子差別だ」「法の下の平等に反する」などと苦情のメールや電話が相次いで寄せられ、女性枠の中身を再検討することになった。九大入試課は「女性枠を目指して勉強している受験生もいると思うのでなくすことはしないが、内容を変更せざるをえない」と話している。
少数者保護のため、そういった者に対する優先処遇(affirmative action)や積極的差別是正措置(positive action)を講じることが、憲法で保障された法の下の平等との関係で、どこまで許容されるかは、悩ましい問題であり、米国ではいろいろなケースで問題になっています。
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でも、米国最高裁の判決で、大学において黒人のための特別枠を設けたり点数で下駄をはかせることは違憲という判断が示されたケースがある一方、成績を基本としつつも学生集団の多様性を確保するため人種的・民族的少数者にも配慮するという大学側の優先処遇は合憲とされたケースもあることが紹介されています(198ページ)。
なかなか微妙な問題ですが、日本国憲法14条で、「性別」による差別が禁止されていることや、女性研究者を増やすという目的に、そういった優先処遇を敢えて行うべき強い必要性まであるのか疑問も感じられることから、「募集人員9人のうち5人を女性に割り当てる」といった、単純に女性枠を設けことさら優遇するような措置は、違憲の疑いがある、問題のあるものという批判を免れられないでしょう。
女性研究者が増えないと言っても、意欲、能力があれば男性に伍して研究者への道を歩める環境に欠けるところはない(少なくとも制度として)中、入試で男性を排除してまで女性を優遇する合理性は見出し難いと感じます。
今後の、大学側による、慎重かつ十分な検討が望まれます。