異臭やごみ散乱で被害 『野良猫餌やり訴訟』判決詳報

http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/20100514/CK2010051402000089.html

本件に関心を持たれた方々の意見は、当裁判所が地域猫活動等について理解を深め、結論を考えるに当たって大変役立った。しかし本件の問題は、区分所有法の適用があり、猫を含む動物の飼育を禁じる規約を有するタウンハウスにおける猫の飼育、または餌やりの問題である。

現在の法秩序の下では、規約で猫等の飼育を認めなかったり、マンション敷地での野良猫に対する餌やりを禁止したりすることが公序良俗に反し無効であるなどと解することはできない。
被告の餌やり行為は受忍限度を超える違法なもので、原告への損害賠償義務がある。

裁判というものは、強制力があるルールに照らしそのルールに違反しているか、違反している場合はどのような効果(損害賠償等)が出るか、ということを問題にするもので、社会における人々の生活の在り方、といったことについて、社会を教え導いたり人々に指図するような権限はないものです(裁判を通じて結果的にそういった側面が出てくる場合もありますが)。
そのような意味で、この訴訟の経過、今後の結果(確定した際の結論)を、この種問題について一般化して行くことの危険性を感じます(「野良猫に餌をやるのは違法」といった形で)。裁判所も、判決を書きながらそこを懸念して、上記の記事にあるようなことを言ったのでしょう。
動物が好きな人もいれば嫌いな人もいて(無感心な人もいますが)、この種の問題は、日常、よく起きがちなだけに、どういったルールを、どのような方式で定め、紛争が起きた場合はどのように解決するかということを、今後、裁判とは別に考える必要性を感じます。