「贋作」描いた画家に無罪 「あくまで模写」主張認める

http://www.asahi.com/national/update/0317/OSK201003170083.html

判決などによると、画家は京都市の古物商(71=詐欺罪で一審有罪)から依頼され、約30点の模写を描き、1点15万〜20万円で売却した。ところが古物商は、このうち東山魁夷の「緑響く」や加山又造の「華と猫」「月朧(おぼろ)」など4点を、岡山県内の会社役員に本物と偽って売却した。
検察側は「画家は詐欺に使うと知っていた」と主張したが、判決は「本物として売らないという約束を信用した、との画家の供述は、不自然ではない」と退けた。

「迷宮の美術史 名画贋作」などの著作がある岡部昌幸・帝京大准教授(美術史)は「名画の模写は弟子や画家によって広く行われており、模写が犯罪に利用される恐れは潜在的にある。1億円を超す売却益の2、3割を受け取っていたなら共犯性は高いが、1点15万〜20万円という報酬なら、古物商に利用された、という印象だ」と話す。
一方、テレビ東京系の「開運!なんでも鑑定団」に鑑定士として出演する美術評論家瀬木慎一さんは「1人の人間に1点15万〜20万円という高額で何十点も売れば、本物として売られることに合意していたと疑われてもしようがない」と厳しい見方をしている。

記事を見る限りの印象ですが、約30点の模写中、偽物として売却されたのは4点で、すべてが偽物として売却されていないことが、被告人の「約束を信用した」という主張を裏付ける方向で働いた可能性はありそうですね。1点15万円から20万円という報酬も、上記のように専門家の見方は分かれるものの、そこから直ちに詐欺の範囲を裏付けるほど高額とは言えないと思います。
こういった美術品の世界について、本を読んだこともありますが、特殊な、奥深い世界であり、そういった業界の実情について、どこまで捜査で解明されていたのかについても疑問を感じるものがあります。
詐欺事件として、かなり特殊な難事件であり、今後、この業界について同種事件が問題になった場合は参考にされそうです。