布川事件の再審開始確定=「自白疑問」の高裁判断支持−無期、仮釈放の2人・最高裁

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091215-00000077-jij-soci

事件では有力な物証がなく、確定判決は捜査段階の2人の自白と目撃証言を根拠に、有罪と認定していた。
2005年9月、2人の再審開始を決定した同支部は、男性が首を絞められた後に、口に下着を詰め込まれた疑いがあるとした弁護側の鑑定書に信用性があると判断。「下着を口に押し込み、手で首を押さえた」との自白は、殺害方法や順序が遺体の状況と矛盾するとした。また、近隣住民が2人を見たとする目撃証言についても、事件とは別の日だった可能性を指摘した。
東京高裁も08年7月、殺害方法などに関する同支部の判断を追認。現場の物色や逃走後の状況などに関する自白内容が変化したことについて、「実際に体験していないため、不自然な変遷を重ねた」と指摘した。
さらに、桜井さんの自白が録音されたテープに編集された跡があったとする弁護側の鑑定結果を、「取調官の誘導があったことをうかがわせる」と判断し、自白の信用性を否定した。 

確定判決の証拠構造が完全に崩壊している、という印象を受けますね。
この種の、脆弱な証拠構造の事件(「脆弱」であるだけに、自白を中心に据えている場合が多い)というものは意外と多いもので、自白を評価するにあたり、どこまで厳格に見て行くかにより有罪、無罪が分かれてくるものです。従前、自白を評価するにあたり、矛盾、変遷があっても、大筋で一貫している、具体性、迫真性がある、といった、捜査機関寄りの判断を裁判所がして有罪方向でまとめてしまう傾向がありましたが、最近は、徐々にそういった傾向が是正されつつある(全面的にではないものの)という印象も私は受けています。布川事件も、再審については、そういった流れの中で位置付けることができるかもしれません。
再審で無罪となった後には、なぜ、このような事件が起訴され有罪となって一旦は確定するまで至ったのかということが、きちんと検証される必要があるでしょう。