入所者放火殺人、元介護士に無罪 自白の信用性に疑問、広島地裁

http://www.47news.jp/CN/201407/CN2014071601001271.html

被告は捜査段階で放火を認めていたが、裁判で否認に転じ、信用性が争点となっていた。弁護側は、目撃者や放火に使ったとされるライターが見つからず、自白は取り調べでの誘導の結果だと主張していた。

判決について、マスコミからコメントを求められ、その関係で、判決の概要を教えてもらったのですが、取調べに大きな問題はなく自白調書の任意性は肯定されている、自白が無理な出方をした形跡もなく、早い時期から自白してその後も維持されている、しかし、内容を見ると、客観証拠と合わず変遷もしていて裏付けもなく信用性が乏しい、そういう判決であったようです。
証拠が燃えて無くなってしまいやすい放火という犯罪には、特にそういう傾向がありますが、自白程度しか証拠がない、ということは、いくら懸命に捜査を行っても起こり得ます。その自白にも上記のような問題があれば、有罪判決は出せず無罪ということにならざるを得ないでしょう。刑事事件(刑事に限らず「事件」というものの)限界を見たような気が、上記の事件の判決内容に接してしました。
広島地検控訴するかどうかが注目されますが、裁判員も入っての判断であり、自白自体は証拠採用され、それが徹底的に検討された上での無罪ですから、控訴してこの判断が覆る可能性はかなり低いと思います。