裁判員判決、求刑半減の懲役5年=覚せい剤密輸「甘い話断れ」−大阪地裁

http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2009090900797

判決は「多量の覚せい剤を持ち込んだ罪は重大だが、暴力団組長に中国で接待を受け、1回限りの運び役として巧妙に巻き込まれた。役割は従属的で深く反省している」とした。
量刑については、密輸量は起訴内容の約1.8キロでなく、共犯者が持ち込んだ分を除く約990グラムとして決めるべきだとした。
言い渡し後、杉田裁判長は「裁判員との総意」と前置きし、被告に「甘い話には気を付け、断る勇気を持ってください」と説諭。被告は「はい」と小さくうなずいた。

認定落ちした理由がよくわかりませんが、10年という求刑は、千葉地検で麻薬係をやっていた当時の私の経験(成田空港経由の薬物密輸事案を多く取り扱う)からも、まあこんなものかな、という印象で、5年というのはかなり値切られたな、という感じですね。
検察庁の見方としては、この種の運び屋なくして密輸はあり得ず、報酬目当てを悪質と断じており、裁判所も、従来は、巧妙に巻き込まれた、従属的といった被告人、弁護人の主張を一蹴し検察官による重い求刑に、思い切り引きずられて重い刑を宣告していたものでした。
最近の青森の性犯罪事件では、懲役15年の求刑に対し判決も懲役15年と、思い切り重く転んでしまいましたが、特定の被害者がおらず、「悪質さ」ということが今一つ実感しにくいこの種の事件では、逆に、思い切り軽く転ぶ場合もある、ということかもしれません。どちらに転ぶかなかなか予測し難く、実務家としても、予測しにくく取り組みにくいのが裁判員裁判、ということは言えそうです。