Winny利用の果て――家族崩壊した銀行マンの悲劇

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090113-00000017-zdn_ep-sci

PCの使用履歴にはN氏が勤務していた時間帯が多数記録され、情報を流出させたのは家族である可能性が高まり、最終的に大学生の長男が使用していたことが判明しました。当然ながら、長男は自分のPCは持っていました。しかし、メーカーへ修理に出していたところだったのです。
自分のPCが戻るまでの時間、長男はどうにも待つことができなかったようです。長男はいわゆる「Winny中毒者」でした。映画や音楽などを違法コピーしたデータなどを簡単に入手できるという快感がどうしても忘れられず、少しの間でも我慢できなかったのです。つい父親が留守にしている平日の昼間に無断でN氏のPCを借りて、Winnyの操作に没頭していたということでした。

運転免許の更新に行くと、安易さ故に交通事故を起こしそれを契機にすべてが暗転して行く、といった啓発ビデオを見せられることがありますが、それを想起させるような、絵に描いたような悲劇ですね。
ただ、携帯電話による弊害があるから携帯電話はなくしてしまえ、winnyがあるから家庭が崩壊しかねないからwinnyをなくしてしまえ、といった発想を始めると、飛行機がなければ墜落事故も起きないから飛行機をなくす、家庭で火を使わなければ火事が起きないからガス器具等を使えなくする、といったことになりかねません。物事には、有用な面と危険な面が常にあり、前者を生かしつつ、いかに後者を抑え込んで行くか、という発想が必要であって、マスコミ報道にありがちな、センセーショナルに後者をあげつらい人々を不安に陥れ、ではどうすべきか、ということについては考えず人々を不安に陥れたまま放置して逃げ去る、といったことは厳に慎む必要があると私は考えています。
winnyについては、開発者による改善が行われない現状の中で、それを使うべきかということを、まず考える必要があり、使うという選択をする場合も、万が一(千が一以上の確率かもしれませんが)ウィルスに感染した場合にも最悪の結果を招かないため、共用PCでは使わない、流出してはならないファイル等が入ったPCとは別のPCで利用する、といった最低限の注意は欠かすべきではないでしょう。

追記:

上記の「開発者による改善が行われない現状の中で、それを使うべきかということを、まず考える必要があり、」という部分は、「それを使うべきかということを、まず考える必要があり、」に力点を置いたつもりです。私自身は、開発者による改善の効果を否定するつもりはないものの、どこまで効果が出るかもわからず、ウイルス感染の危険性が高いものは、とりあえず使わないに越したことはない、という考えに立っており、開発者が改善すれば安心して使えるようになる、などと楽観的、牧歌的に思っているわけではありません。