旧長銀元頭取ら最高裁で異例の逆転無罪 

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080718-00000955-san-soci

争点は、平成10年3月期決算当時、不良債権を査定する基準は何だったのか、だった。旧大蔵省は平成9年、自己査定による厳格な不良債権処理を求める「資産査定通達等」を出し、これに関連して決算経理基準も改正した。
1、2審は、改正基準が唯一の不良債権認定基準だったと判断し、それ以前に用いられていた、不良債権処理の先送りを容認する基準(旧基準)で会計処理をした3人を有罪とした。一方、弁護側は「10年当時は旧基準による会計処理も許されていた」として、無罪を主張していた。

当時の状況は、不良債権処理の問題がクローズアップされる中で会計に関するルールが大きく変わろうとしていた過渡期であり、そのような状況の下、従来のルールに依拠した処理を、新たなルールからは逸脱していたとはいえ、直ちに、特に刑事の分野において、違法であったということはできないでしょう。その意味で、本件の立件、起訴自体に無理があった、ということではないかと思います。
検察庁、検事というものは、人々が日々行う経済活動に疎いところがありますが、それだけに、人の、組織の運命を大きく暗転させかねない刑事事件として切り取って行く際には、謙虚に臨み、「国策捜査」といった歪んだ目的の下、実態に反した捉え方をしないように十分注意すべきで、その意味で本件は大きな教訓となる事件と言えるように思います。