支局長からの手紙 21年目の5月3日/島根

http://mainichi.jp/area/shimane/letter/news/20080506ddlk32070208000c.html

1987年5月3日に発生した朝日新聞阪神支局襲撃事件から21年。事件が時効になってから6年が過ぎました。松江支局で現在、第一線で仕事をする支局員は全員が20代。事件発生当時、まだ2歳だった記者もいます。いくら「事件を風化させてはいけない。私たちに“時効”はない」と言っても、第一線で走り回る若い記者にとっては歴史上の出来事になりつつあります。
小尻記者の無念を伝え、「取材すること、原稿を書くことの重さ」「何があってもひるまぬ気持ち」を若い記者に知ってもらいたい。21年目の5月3日を迎えて気持ちを新たにしました。

私は、こういう仕事をしているせいあって、過去に起きた事件とか事故は、読んだり聞いたりすると頭に残りやすいのですが、私が知っている程度の事件、事故は過去のものでも相手が知っている、という感覚で話していると、特に相手が若いと、「?」という反応を招くことが、次第に増えてきたような気がします。そういう場面になると、意外と親切(おせっかい?)なところがあるので、あの事件は、この事故は、ああだこうだと説明したりして、話しながら、自分も年をとってきたな、と思うこともあります。
凶弾の犠牲になった小尻記者も、生きていればベテラン記者になって後進の育成にあたっていたはずですが、私のようなしがない弁護士とは違って後進の育成にあたる立場の人々は、伝えるべき点、教えるべき点をきちんと伝え教えてほしい、という気がします。