始まる裁判員制度:調書を「一問一答」に 取り調べで積極活用へ−−最高検

http://mainichi.jp/select/wadai/news/20080403dde041040039000c.html

取調官の質問と容疑者の答えを一問一答形式で記載すれば、認めている部分と否認している部分を明確にでき、調書が法廷で朗読される際に、容疑者が自分の意思で供述したことを裁判員に納得してもらいやすい利点がある。
また、言葉の不自由な容疑者などが自分の言葉で詳細に供述できないケースもあり、こうした場合は取り調べの実情を一問一答形式で忠実に反映させた方が調書の信用性が増す効果もあるという。検察当局は既に、一部で一問一答形式の供述調書を採用しているが、今後さらに積極的に活用していく。

従来も、物語形式の供述調書が作成される中で、問答形式が一部採り入れられることはありましたが、「取調べの実情を一問一答形式で忠実に反映させ」るためではなく、検察官が問題点について問題意識を持って追及していたことを印象付けようとしたり、検察官の追及に対し被疑者がいかにも不自然、不合理な弁解を繰り返している、といったことを印象付けようとしたり(そのために、取調べの際の問答をねじ曲げて記載する)、被疑者が否認しているものを、否認が強固ではなく何となく認めかけていたような体裁を取り繕うためなど、アンフェアな作成がされる場合が多かったように思います。
例えば、被疑者が殺意を否認しているような場合に、供述調書に「殺すつもりはありませんでした。」と記載した後に、

問 その時、相手を殺すつもりが絶対になかったと断言できるのか。あなたが述べているようなそれまでの恨みつらみがこれで一気に晴れる、という気持ちがあったのではないか。
答 気持ちの問題ですから自分でもわからない部分はあり、とっさの気持ちも含め、そういった気持ちが全然なかったと断言してしまうと嘘になるかもしれません。

といった問答を差し挟んでおくと(実際はそういったやり取りがなくても)、被疑者もそういった問答部分を否定はしにくく、後日、調書の読み手に、被疑者は否認していたものの「弱い」否認であったかのような印象を与える、という効果が出せる可能性も出てくる、といったような方法です。
従来のアンフェアなやり方はできるだけ改めて、「実情を忠実に反映させる」ということを心がけてほしいと思います。