強制わいせつ:「女児供述は誘導」と無罪判決…東京地裁

http://mainichi.jp/select/news/20140704k0000m040118000c.html

被告は公判で起訴内容を否認。母親に促される形で「触られた」と訴えた女児2人の捜査段階の供述の信用性などが争点となった。弁護人によると、公判では女児2人と母親、現場にいたとされる同級生への尋問が行われ、女児2人は「触られた」と証言したが回数や時期が食い違った。同級生は「触っているところは見たことがない」と述べた。判決は、女児2人が母親に迎合し、体験していないことを話した疑いが残ると判断し、可視化の活用を促す異例の言及をしたうえで無罪とした(検察側が控訴)。

私自身、今でも覚えているのは、平成2年から平成5年当時に徳島地検で勤務していた当時の、連れ去り事案だったと思いますが、幼稚園から小学校へ上がるくらいの幼児(女の子)の参考人調べで、母親同席で事情を聴いたものの、なかなか具体的な供述が得られず、誘導すればかなり誘導はできるもののそれでは供述の価値が損なわれてしまうので、かなり難渋しつつ、時間をかけ、問答形式で生の答えをできるだけそのまま残したりしながら、苦心しつつ供述調書を作成したことが思い出されます。
こうした年少者の供述、証言は、かつて、長期間にわたり激しく争われて最終的に被告人の無罪が確定した甲山(かぶとやま)事件でも、その信用性評価が大きく問題になったことがありました。
取調べを可視化しても、取調べまでに近親者(母親など)に、こうである、そうよね、といった形で刷り込みが入っている可能性もあって、こうした年少者の取調べは、今後もかなり難しいでしょう。捜査を行うに当たり、慎重の上にも慎重を期し、過度に消極的になることもありませんが、起訴に問題があると判断されれば、無理をせず起訴を見送るという、検察官の謙抑的な事件処理が必要ではないかと思います。