<死刑判決>「人を裁く」とは? 永山事件の裁判官が初告白

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080321-00000000-mai-soci

東京地裁で被告と向き合った元判事2人が初めて口を開いた。
初公判から論告まで裁判長を務めた堀江一夫弁護士(89)は「起訴状通りなら死刑はやむを得ない。言い分をよく聞こう」と心がけた。証拠提出された手記の草稿を読んで「よくあれだけのものを書けるな」と感銘を受けた1人だ。
ただ、貧しさと無知に事件の原因を求める内容に違和感も覚えた。「彼は内省するんじゃなく社会に責任を向けた。その分だけ世間の同情は薄くなったのでは」と話す。
一方、途中から審理に加わり、79年7月の死刑判決を言い渡した豊吉(とよし)彬弁護士(78)は「死刑と無期では差があり過ぎる。もし制度があれば、終身刑を選択した」と断言する。結果的に死刑を選んだが、死を望んでいたわけではなかった。3人の裁判官による合議では「こんな貧困があっていいのか。行政が何とかできなかったのか」と話し合ったという。高裁で無期に覆された時は「よかったと思った」と明かす。

永山事件は、最高裁が死刑選択の基準を明らかにしたという点で著名ですが、その事件を担当した元裁判官のコメント、というのは、今まで公にはされてこなかったのではないかと思います。
法に基づくとは言え、自分自身の判断で死刑を選択する裁判官の心労もかなりのものと思いますが、死刑制度が存続する限り、逃げるわけには行かず、刑事裁判官である限り、死刑を宣告するという立場に身をおく覚悟は不可欠と言えます。
上記のコメントにある、終身刑の採否ということは、死刑制度存廃の問題とは離れても、選択できる刑罰の幅を広げるという意味で、検討する価値はあるでしょう。