有害サイト削除、民主が独自法案・プロバイダーに義務化

http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080104AT3S2400H03012008.html

検討中の法案では、サイト開設者やプロバイダーは違法情報を発見し次第、削除しなくてはならないと規定。違法かどうか明確でなくとも、有害な恐れがある場合は児童が閲覧できなくなるような措置を講じるよう義務付ける。罰則を設けることも視野に入れる。

「違法情報」と一口に言いますが、違法性が明らかなものから、非常に微妙なものまで、様々であり、それらを一切合財、「発見し次第削除しなければならない」と義務付けて本当に良いのか、プロバイダ等に過度な負担をかけることにならないのか、ということは検討すべきでしょう。こういった法律ができれば、削除してほしい側は、法律を盾にとってかなり厳しくプロバイダ等に削除を迫ることになると予想されますが、微妙な案件に関し、削除すべきかどうかの狭間で苦悩する人々が増えることが予想されます。
罰則まで設けるのであれば、特にこの点については十分な考慮、配慮が必要でしょう。

追記:

かつて、共謀罪に関し、

法は、成立すればあまねく広範囲に、そして拡大して適用される
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20060524#1148435894

とコメントしたことがありますが、これは、あらゆる規制立法について言えるように思います。治安維持法も、国際共産主義運動の脅威に対処するため、と言われつつ立法されましたが、その後、拡大適用されて、宗教団体や言論活動まで取締りの対象になってしまいました。
非常に悪質な事例、というものはあり、そういったものに対処することも必要ですが、それに目を奪われ、規制対象を広げすぎてしまう、取り締まる側に広範な裁量の余地を与えてしまう、ということになれば、人々の活動は不自由になり、取り返しがつかない萎縮効果も生みかねません。
暗い、不自由な世の中というものは、独裁や圧政の中で生み出されるというよりも、冷静さを欠いた大衆の激情、勢いの中で生み出されるものである、という歴史の教訓は、常に想起されるべきでしょう。

ポータルサイトもわいせつ物販売ほう助罪で処罰せよ」
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20060508#1147095525
「携帯で犯罪増」懸念、有害サイト「規制すべき」9割
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20050804#1123089131