取り調べ時の警官備忘録「裁判証拠」 最高裁も開示命令

http://www.asahi.com/national/update/1226/TKY200712260330.html

決定で第三小法廷は、05年11月に始まった公判前整理手続き(期日間整理手続きを含む)での証拠開示制度が、争点整理と証拠調べを有効で効率的に行うために導入されたことを重視。開示の対象となるのは検察官がいま保管している証拠だけでなく、「捜査の過程で作成・入手した書面で公務員が職務上保管し、検察官が容易に入手できるものを含む」とする初めての判断を示した。
さらに、警察官が捜査にあたって守るべきことなどを示した「犯罪捜査規範」(国家公安委員会規則)に「警察官は公判で証人として出頭する場合を考慮し、捜査の経過など参考となる事項を明細に記録しておかなければならない」との規定があることを指摘。この規定に基づいて作成・保管された備忘録があれば、「個人的メモの域を超えて捜査関係の公文書にあたり、証拠開示の対象になり得る」と結論づけ、検察側の特別抗告を棄却した。

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20071215#1197713470

でもコメントしましたが、最高裁による上記のような判断が出たことで、今後の実務に与える影響には大きなものがあるのではないか、という印象を受けます。
記事でも指摘されていますが、取調べの可視化へ向けての大きな流れの中で、最高裁としても、その流れの中で物事を考えようとしている、ということの現れとも言えるように思います。
記事では「公判前整理手続き(期日間整理手続きを含む)での証拠開示制度」とありますが、同手続によらない、従来の証拠開示がなくなってしまったわけではなく、そこにもこの判断が及ぼされるかにも興味を感じます。

追記:

判例時報1996号157ページに、上記決定が掲載されていました。コメントが詳しく、参考になります。メモを作成した警部補が「田原俊彦」という人で、何となく笑えます。
この決定の後、

検察官メモも開示対象 初の司法判断、大阪地裁
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20080411#1207895137

が出ていますが、決定では、検察官作成のメモは駄目だ、とまでは読み取れず(犯罪捜査規範の規定を強調しているようにも見え、そこを重視すると、検察官作成のメモについては消極、とされる余地もあり微妙なのですが)、上記の大阪地裁のような判断が出る余地はあるな、と思いました。