殺人起訴の父無罪 散弾銃で二男殺害「暴発の可能性」 熊本地裁判決

http://www.nishinippon.co.jp/nnp/local/kumamoto/20071030/20071030_001.shtml

野島裁判長は「被告の主張には合理性が認められ、殺意があったとまでは言い難い」と暴発の可能性を認め、検察側の主張については「想定できる態様の1つにすぎない」と退けた。

人と人とが接近してもみ合うような状況下にあっては、刃物による刺突行為が故意によるのか、あるいは、「刺さって」しまったのか、といったことが、よく問題になります。銃撃行為についても、そのような状況下にあっては、暴発した、といった主張(弁解)は出やすいと思われ、第三者の目撃者がおらず、被害者が死亡しているような場合は、犯行態様がいかなるものであったか、その確定がかなり難しくなるケースも出てきます。本件は、正にそのようなケースであったものと推測されます。
可能性としては、重過失致死罪の成立、ということも考えられなくはないように思いますが、検察官は、あくまで故意の殺人として起訴し、公判維持を図ったようであり、今後、控訴するかどうか、控訴審でもあくまで当初の訴因による有罪を求めて行くのか、かなり悩ましいものもあるのではないか、という印象を受けました。