裁判員制度:刑事裁判、市民は量刑どう判断 市川などで模擬評議、割れる判決 /千葉

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070529-00000132-mailo-l12

ボツネタ経由。

解雇された元社員が、5人が就寝中の従業員宿舎に放火し、自首するという架空の事件を設定した。

設定では、5人は逃げて無事だった。会社の被害額は約2000万円で、被害弁償はなされていない。検察側は懲役5年を求刑している。

執行猶予を付す、という意見のほうが優勢だったようですね。
放火罪は、そもそも法定刑も重く、基本的には執行猶予は付かないタイプの犯罪、というのが実務感覚でしょう。例外もありますが、動機に酌量の余地がある、未遂、あるいは既遂でも被害が軽微なものにとどまっている、被害弁償を行い被害が回復されている、といった良い情状がそろってくることで、例外的に執行猶予が付せる場合もある、ということで、上記のようなケースは、実務感覚としては実刑相当、という意見が多いでしょう。
その意味では、5年という検察官の求刑は、やや中途半端な印象を受けます。これが6年なら、執行猶予を付すためには、懲役3年まで落とす必要があり、裁判官や裁判員に対し、それなりのアピールにはなるでしょう。5年求刑するのか、6年に上げるのか、は、実際に求刑を決める場面では、考える機会が少なくない問題です。
裁判員制度実施後、従来の実務感覚、量刑相場がそのまま踏襲される必要もないわけですが、重きに、あるいは軽きに失した量刑は、裁判員が参加する裁判ではあり得ることであり、そうならないための対策は講じておく必要があるでしょう。
思いつくのは、量刑資料の充実、裁判官による適切な議論の整理などですが、実際の事件を裁く中で、事実認定と同等かそれ以上に、量刑の問題は存在し続けると思います。