【始動 裁判員裁判】5人が被告に質問 さいたま地裁 懲役6年求刑

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090812-00000039-san-pol

11日に結審した、全国2例目の裁判員裁判。この日に行われた検察側の論告と弁護側の最終弁論では、双方が裁判員の判断基準にしてもらおうと、過去の類似事件裁判の量刑例を提示したが、見せ方にはそれぞれの思惑が見え隠れした。

被告(35)の起訴罪名は、殺人未遂。執行猶予付きの判決を求めている弁護側は、類似の殺人未遂事件の過去の裁判例をグラフ化し、「懲役6年の所に山があるが、執行猶予付きの判決も大きな山になっている」と述べた。
一方、実刑が相当とする検察側は論告で、執行猶予が付いた裁判例個々の事情に踏み込んで説明。執行猶予が付いたのは「被害者が示談に応じた」「被害者が許している」などのケースにとどまるとして、被害者が強い処罰感情を持っているこの事件には当てはまらないと主張した。

従来の量刑「相場」に照らすと、殺人未遂事件では、原則は実刑、例外的に、上記の記事で検事が論告で指摘したと紹介されているような事情があれば、ぎりぎりのところで執行猶予が付される場合もあるがその数は少ない、というところでしょうね。具体的な証拠関係がよくわかりませんが、懲役6年という求刑は、殺人未遂事件としてはよくある求刑、という印象を受けます。
しかし、そういった従来の量刑相場を、裁判員裁判でそのまま維持するかどうかは別問題で、犯した罪の重さは重視しつつも、自首、反省の程度、更生の可能性等についても重視し、従来の量刑相場の枠を超えて執行猶予を付すという選択も十分あり得るでしょう。刑罰というものをどう考えるか、応報という点を重視するか、改善、更生という目的に資すると判断されれば本来なら実刑という事案であっても執行猶予を付すかという、本質的な問題に、裁判員を含む裁判体がいかなる判断を示すのか、本日午後の判決が注目されると思います。