http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2007/05/18/15756.html
Winnyの利用方法をめぐっては、自分で撮った写真や自分が作詞作曲した楽曲をアップロードすることもあり得るとして、一部では正当化する意見も出ている。こうした“合法利用”については、「ACCSのファイル交換ソフト利用実態調査では、このような利用はごく少数」と反論。また、Winnyではユーザーが知らないうちに違法ファイルのキャッシュを中継する可能性があることから、「完全な合法利用とは言い切れない」との考えを示した。
ACCSではWinnyユーザーに対して、「Winnyは、そのネットワークに参加した時点で違法な送信行為に『加担』している」と警告し、利用を停止するよう呼びかけている。
この問題は、この種のファイル交換(共有)システムの本質にもかかわることで、非常に難しい問題だと私は考えています。
確かに、やり取りされるファイル中に、著作権等を侵害するファイルが占める割合が多ければ(そこをACCSは問題視しているわけですが)、個々の利用者が、それらを「中継」する蓋然性もそれだけ高く、その点を厳しくとれば、上記のような結論になり得ます。
しかし、京都地裁の公判で村井教授が証言したように、システム自体は価値中立的なものであり、
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20060217#1140129009
(高木さんには叱られそうですが)
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/event/2007/02/19/14826.html
地裁判決も、その点には一定の理解を示しつつ(本当の理解かどうかには疑問もありますが)、
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20061217#1166287607
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20061219#1166461792
悪用の意図等、一定の条件を備えることで初めて違法になる、という考えに立った、その地裁判決の論理を前提にしても、単に中継しているだけで個々のファイルについて個別的な認識を持たない利用者の行為まで違法と決めつけその責任を問えるか、という疑問は当然生じるでしょう。
P2P技術の有用性、将来性が強く指摘され、実際に活用(「悪用」ではなく)もされつつある中で、「現状」を過度に強調して、合法利用を「机上の空論」と決め付けてしまって良いのか、ということは、考えてみる価値のあることではないかと思います。
また、刑事手続は、確かに強力で、絶大な「一罰百戒」効果も期待できますが、あまりにも刑事手続利用に偏した戦術をとると、多くの利用者の反発を招き、一種の「北風と太陽」のようなことにもなりかねない、という印象も、この記事を読んで改めて受けました。