ウィニーの利用 即違法行為になるのか

http://www.j-cast.com/2007/05/24007822.html

私のコメントも含まれています。

一方、落合洋司弁護士は、今回の事件については「正当化する余地がない」としながらも、ACCSの「ウィニー合法利用説は机上の空論」とする見方に疑問を呈している。

その背景には、京都地裁ウィニー開発者に対して06年12月に下した判決の中で、「システム自体は価値中立的なものである」とする村井純・慶応大学教授の公判での証言に一定の理解が示されたことがある。落合弁護士は、「ウィニーの現状からすれば違法となる可能性が高いのは確か」との見方を示した上で、J-CASTニュースに対し次のように語る。

「(京都地裁の判決は)故意だった場合に違法になる、という見方で、単に中継しているだけで個々のファイルについて個別の認識を持たない利用者の行為まで違法と決めつけられるのかという疑問がある。線引きするのは非常に難しい」

「合法利用を『机上の空論』と一面的に決め付けてしまうことがいいことなのか。ファイル共有システム自体は中立的なものと判断されているし、使い方まで『違法』とされれば、技術の進歩が止まってしまう可能性さえもあるのではないか。私自身、疑問を感じつつ考えているところだ。ウィニーだけクローズアップしないで、広い視野で見ないといけないと思う」

これについては、先日、

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20070519#1179504497

でもコメントしましたが(これを見た記者の取材があって上記記事のコメントになったわけですが)、これだけインターネットが普及し、その中で、違法・不当な行為も少なからず行われる、という状況になると、そういった行為を肯定せず、加担する気もなくても、あるいは、個別具体的な認識はないまま、何となく変だな、おかしいなと薄々気付いている程度でも、予測不可能なまま、違法・不当行為に加担している、お前は故意もあって犯罪者なんだ、などと決め付けられて、気がついたらとんでもない状況に追い込まれている、という恐れがあります。
私が危ないな、と思っているのは、そういった「グレー」な分野で、警察等の捜査機関が、勝手に絵を描いて動き、逮捕者を続出させ、既成事実を積み重ね、そのような事態を見聞きした多くの人々が恐怖を感じ、萎縮し、インターネットを恐いもの、危ないものが満載されているもの、と感じて離れて行く、本当にそういうことが望ましいことなのかどうか、ということです。
ガリレオが地動説を唱えたことで裁判にかけられた時、ガリレオを支持する声は圧倒的に少数であり、圧倒的多数は天動説を支持していました。しかし、誰が正しく誰が間違っていたか、今となっては自明です。真理というものは多数決で決まるものではありません。
別に、私が真理を述べている、と言いたいのではなく、インターネット上において何が違法・不当な行為なのか、そういった行為に対しどのように対処すべきか、対処方法の中で刑事司法というものがどうあるべきか、といった問題は、単に多数決やインターネット上の各種論調などで決まるものではなく、今後とも真剣に検討されるべき問題であると思います。