長崎市長射殺、幇助容疑の2人不起訴へ 嫌疑不十分で

http://www.asahi.com/national/update/0518/SEB200705180011.html

幇助罪を適用するには、2人が被告の銃撃を事前に知っていた必要があり、地検は、事件前後の2人の行為を踏まえてもなお同罪の適用は難しいと判断したとみられる。

昔、検察庁にいた際に、ある犯罪の現場に、運転する車で実行犯を送って行き、犯行後、再び車に乗せた、という被疑者をずっと取り調べていたことがありますが、犯意を頑強に否認しており、結局、否認のままで起訴となりました(私は主任検事ではなく、起訴する、という判断は主任検事が決めました)。その後、無罪になった、という話を聞かないので、有罪になったはずです。
その際の主要な証拠は、車内等での実行犯の会話、それを運転しながら具体的に聞いていた状況があった、というだったと記憶しています。また、共同正犯か幇助犯か、微妙な事例かと思いましたが、起訴は共同正犯でした(裁判例上、車での送迎程度でも正犯を認定したものはあるようで、要は主観面も含め正犯としての実態があるかどうかでしょう)。こういった事案で、犯意を否定され、謀議への関与など、直接的な証拠も収集できないと、犯意の認定はなかなか難しいものです。
事案が重大で被害者やご遺族が気の毒なだけに、無理な起訴がされがちですが、長崎地検も、そこは証拠を精査し冷静に処分を決めようとしているようです。