資金洗浄通報義務、弁護士ら5業種除外 警察庁方針

http://www.asahi.com/national/update/0201/TKY200702010418.html

弁護士が(弁護士でなくても、ですが)マネーロンダリングの片棒を担ぐといったことが許されないことは言うまでもありませんが、「疑わしい取引」ということになると、業務の中で目にする機会は少なからず出てくるでしょう。「疑い」と言っても、その内容は千差万別であり、弁護士に通報義務を課すとしても、どこまでの「疑い」があれば義務が生じるか、には、かなり難しい問題があります。例えば、脱税事件、金融犯罪、といった事件では、弁護士が依頼者を疑いはじめればきりがない、という面もあるでしょう。通報義務が課される事態になれば、その種の事件を受任することを躊躇する弁護士も出てくるかもしれません(私も、受任するにあたっては、慎重に検討すると思います)。
守秘義務は、依頼者との信頼関係を支える重要な要素であり、依頼者との間で、「疑う」「疑われる」という関係が常に生じ、疑いがあれば通報されるかもしれない、と依頼者が疑心暗鬼に陥る、という事態は、信頼関係に深刻な影響を及ぼす恐れがあるでしょう。
弁護士だから、他の士業だから特別扱いする、というのではなく、マネーロンダリング防止という目的達成のため、あらゆる手段を講じる中で、職種によっては、その特殊性に配慮した措置も必要、ということではないかと思います。