<司法修習卒業試験>落第者向けの追試を廃止 最高裁

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070118-00000138-mai-soci

委員会が「最低水準に達していない修習生を追試で救済するのはふさわしくない」と判断したため。

2回試験が、最低水準に達しているかどうかを見極める試験であることは、この記事からもわかります。このハードルを下げてしまえば、良質でない法曹を続々と世に出すことになり、そうなれば、様々な弊害が発生しかねない、迷惑するのは、結局、国民全体、というのは、法曹としての常識的な見方だと思います。
「自分は2回試験で合格留保、不合格になったが良質な法曹だ」と思う人は、私の事務所へ成績表を送ってくるような暇があったら、しっかり勉強して、例外であることを自らの実績で示すべきでしょう。例外の存在まで否定しようとは思いませんし、2回試験で合格留保、追試で合格、という経緯をたどった人でも、法曹として活躍している人は実際に存在しています。
本ブログをろくに読まず、私が単純に司法試験合格者増員に反対している(適切な教育機能を放棄した安易な増員には賛成しかねますが、増員の必要性は一貫して肯定しています)、などといった見当違いの批判などする前に、

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20051204#1133655610

で整理しているエントリーでも、まず読んでいただきたいものですね。
例えば、

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20060121#1137852149

でも、

上記の2については、「3000名」という人数について、改めて考えてみる必要があると思います。

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20060119#1137605216

でも述べたとおり、不適格者が大量に存在した状態で、大量の不適格者が絶えず流入しつつ、激越な自由競争が行われることになれば、不適格者が淘汰される過程において、国民に重大、甚大な被害が生じることは確実です。そうならないために、国民に対してサービスを提供する前段階において、適切な選抜、教育、試験を行い、実務に就いた後も不適格者を排除する仕組みを整備することは、避けて通れないと思います。
その一方で、日本において、国民が必要とする法律家(隣接法律職を除いて)は果たしてどの程度なのか、ということも、単に外国ではこの程度存在しているから、といった大雑把な議論ではなく、日本の実情も踏まえた上での検証、検討が行われるべきでしょう。
その結果、3000名では足りない、5000名、あるいは9000名まで増やすべきだ、ということになれば、現行の教育システムでは極めて困難ですが、従来のシステムを大幅に見直し、増員に対応すればよく、さらなる大幅増員を最初から否定することも正しいとは言えないと私は考えています。

と明確に述べており、既得権にしがみつく、旧体制墨守の法曹、と見ている方がいれば、その認識は改めていただいたほうが良いでしょう。