映画「硫黄島からの手紙」

http://wwws.warnerbros.co.jp/iwojima-movies/

年末で何かと慌ただしくしていますが、早速、観てきました。心に残る、非常に良い映画でした。
まず、感じたのは、

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20060628#1151490734
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20050305#1110003086

でも述べたように、真の統帥、統率は、統帥、統率する側の人格、識見に大きく依存する、ということでした。硫黄島における日本軍のような、絶望的な状況の中で、あそこまで驚異的な粘りを発揮できたのは、やはり、栗林兵団長の人格、識見に大きく依存していたことは間違いないでしょう。
また、戦争に、表面上の勝者、敗者はあっても、真の意味での勝者はおらず、関わる者は皆、被害を受けるものである、ということも強く感じました。やはり、戦争を回避し、始まってしまった場合であっても早期に終結させる努力を怠るべきではないでしょう。
(ここからネタバレ注意)
良い映画でしたが、硫黄島における戦いの全体像を、もっとわかりやすく描いてほしかった、という気がしました。また、日本軍内部の戦術を巡る対立(水際撃退か島内に引きずり込んでの持久戦か)や、戦闘が長引き米軍に多大な出血を強いた状況などについて、もっと深みを出して描いてほしかった、という気もしました。
とはいえ、この種の映画としては出色の出来で、アカデミー賞を取っても何の不思議もない、というのが私の素直な感想です。

クリント・イーストウッド監督が再来日。「硫黄島2部作」完成会見」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061120-00000000-eiga-movi

映画の終盤、栗林忠道中将による『何年もたったら、君たちのことを皆が思い出し、君たちの魂を祈ってくれるだろう』という台詞がありますが、これは非常に大事な台詞だと思います。この映画は『戦争の虚しさ』というものを描いています。戦争には、勝者も敗者もありません。一番忘れてはいけないのは、若者たちの犠牲があったという事実です

クリント・イーストウッド監督により紹介されている上記の栗林兵団長の言葉は、非常に印象的でした。61年後に、このような形で、多くの日本人の人々に、硫黄島の戦いが広く知られることになったことは、大きな意義のあることだと改めて強く感じました。

「栗林中将、素顔の手紙 家族らへ300通 硫黄島で指揮」
http://www.asahi.com/culture/movie/TKY200612080294.html