検察官不在で判決!女性裁判官が被告を呼び戻しやり直し

http://www.sanspo.com/shakai/top/sha200608/sha2006082501.html

実は、この事件を担当した男性検察官(35)は、別の事件に関する警察との協議や司法修習生の指導などで遅刻。電話連絡もしないまま、泡を食って法廷に駆け込んだ時には、公判は終わっていた。
刑事訴訟法の規定では、事件によっては被告や弁護人の出席は必ずしも必要ではないが、裁判官、書記官、検察官の出廷は公判に不可欠。裁判官は大慌てで被告を呼び戻し、午後5時から改めて判決を言い渡した。

刑事訴訟法上、判決の際に検察官の立会は必須なので、誰かが気付いて指摘しそうなものですが、ミスするときというのは、こういうものなのかもしれません。
福井地検のような中小地検では、主任立会と言って、起訴した検察官がそのまま公判にも立ち会うのが普通です。検察官が、捜査をやりつつ、公判活動もしているため、取り調べ等の関係で、公判に少し遅れたり、といったことが、時々起きることがあります。もちろん、遅れないに越したことはないのですが、遅れる場合は、きちんと裁判所に連絡し、待ってもらうのは当然のことでしょう。そのあたりの連絡も不十分だったようで、手続について慎重に進める必要性を示す教訓事例と言えると思います。

追記:

判決宣告が一応存在した、と考えるか、検察官が立ち会っていない判決宣告は、判決宣告とは言えず当然無効と考えるか、2つの考え方があり得るでしょう。福井地裁は、後者と考えて(あるいは、パニック状態の中で何も考えないで)、判決をやり直したようですが、前者と考えて、手続に重大な瑕疵がある、という見方も可能でしょう。そうすると、地裁レベルでは是正不可能(やり直しできない)で、控訴審で是正するしかない、ということになります。
福井地検の西谷次席検事は、私と同期で、私とは違って勉強家なので、その辺はしっかり検討し、「上級庁とも協議して適切に対応」するでしょう。