『共謀罪』 与党修正案を検証する

http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20060502/mng_____tokuho__000.shtml

特に興味を感じたのは、

昨年十月の衆院法務委などで、柴山昌彦委員(自民)などからも集中砲火を浴びた「中止犯」の問題も放置されている。中止犯は「犯罪を思いついても思いとどまった人には刑を減免しなければならない」という刑法四三条の規定だ。「共謀後に『やめよう』と言っても共謀罪になってしまうではないか。あいまいだ」と矛盾をつく柴山氏に、法務省は「予備罪や準備罪にも中止規定は適用されない」と答弁したが、法律家らは「殺人・強盗などが対象の予備罪と、都市計画法道路交通法まで対象の共謀罪を同一に語るのは、むちゃくちゃな話」と批判する。「誰でもいけないことを思ったり口に出すが、中止犯という“黄金の橋”があるから実行せずに戻ってくる。橋をはずしてしまってよいのか」(日弁連)とも。

ですね。
刑法の中止犯は、

第43条
犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者は、その刑を減軽することができる。ただし、自己の意思により犯罪を中止したときは、その刑を減軽し、又は免除する。

となっていて、自己の意思により犯罪を中止すれば、刑の免除も可能です(刑が必要的に減免されますが、必ず免除されるわけではなく、減軽にとどまる場合もあります)。
現在は、共謀のみで罪に問われることは基本的になく、共謀者の中の者が、共謀関係から離脱することにより刑事責任を負わない、ということもあり得ますが、共謀罪が成立すれば、共謀を遂げることで犯罪は成立し、中止犯もない、ということで、刑の減免を得ようとすれば、自首するしかない、ということになってしまいます。
種々の事情で自首もできない人は、形だけでも実行行為に着手して、すぐに「自己の意思により犯罪を中止」し、中止犯の適用を狙うという、非常に高度な(?)テクニックも、今後は必要になるかもしれません。