http://www.asahi.com/national/update/0502/TKY200605020319.html
地検によると、2人は99年5月から00年3月にかけて、急な出張などにあてる捜査費用を確保するため、カラ出張や架空の講演をでっちあげた虚偽の書類を部下に作らせ決裁。計15回にわたり、約250万円を不正に受け取ったとされる。
地検は、詐欺について「受け取った金は個人的に流用しておらず、不法に利益を得る意思が認めがたい」として嫌疑不十分とした。虚偽有印公文書作成・同行使については「内部文書で、公共の信用性を害する可能性は低い。不正受給した金も返還されている」として、起訴猶予とした。
具体的な証拠関係がわかりませんが、目的が私利私欲ではなかったとしても、自由に処分できる金を受け取っている以上、「不法領得意思」を認定するのが筋でしょう。受領後の使途に関する主観面まで、不法領得意思の認定に持ち込んでしまうと、最も困るのは検察庁ではないかと思いますが。この種の事件について、公判で同種の主張が出たら、「はい、そうですね。」と言って、公訴取消とか無罪論告しますか?しませんよね。>東京地検
内部文書であっても、虚偽文書が作成されれば、大きな弊害が生じるのは明らかで、上記の理由に説得力は乏しいでしょう。こういう理由付けで不起訴処分なんか出すと、今後、同様の事件の処理に困りますよ。
何とか不起訴にしたいと、理由をとってつけたのだと思いますが、同種・類似事件についての、今後の検察権行使に支障を生じさせかねない、稚拙な理由付けと思います。逆に言えば、刑事弁護の立場からは「使える」先例になり得るとも言えます。