http://www.sankei.co.jp/news/060312/sha044.htm
NHKの放送内容が不適切だとして、横浜市の元裁判官が受信料を支払う義務がないことの確認を求め提訴、横浜地裁が昨年十一月の判決で「どのような内容の放送を行ったかによって、支払い義務の存否や額が左右されるものではない」と請求を棄却し確定していたことが十一日分かった。
NHKはこうした視聴者の説得に利用できるよう、判決の存在を集金スタッフに伝えているという。
「だから何なんだ、当事者以外に既判力は及ばないだろう?」と言われてしまえば、それで終わりそうですが、そもそも、上記の訴訟では、一般的な支払義務の存在は認めた上で、「放送内容が不適切だから義務が消滅した(消滅している)」という訴訟だったのではないか、という気がします(あくまで推測ですが)。そうだとすれば、上記の判示は、そういった争いのない事項を前提に、「放送内容で左右されないよ」と言っているに過ぎない、という見方も成り立ちます。
もし、一般的な支払義務自体を争う訴訟を提起すれば、当然、その点が問題になるはずであり、その点を問題にしなかった訴訟(民事ですから、争いがない事項はそのまま認定されます)を持ち出しても、厳密に言えば、説得材料にはならない、とも言えそうです。
さらにいえば、そういった流れの中で、NHKが上記の裁判例を説得材料に使用しているとすれば、本来、説得材料にならない裁判例を説得に使用しているということになります。
追記:
と書きましたが、
『番組不満でも受信料』認定 NHK集金担当へ通知、説得に活用も
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20060312/mng_____sya_____007.shtml
とあり、一般的な支払義務は認められていたようです。ただ、下級審(地裁)の裁判例であり、説得材料になるかどうか、という問題は残るでしょう。
ちなみに、私は、昔から、NHK受信料は渋々(?)支払っています。