法廷イラスト描写を禁止 裁判長が訴訟指揮

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050929-00000102-kyodo-soci

弁護側が地裁に対し、「少年の写真やイラストが報道されることがないように」と要請したことや、少年法の精神に沿った判断とみられ、廷内に複数の警備員らを配置した。

裁判所の訴訟指揮権と傍聴人の権利の衝突が問題になり、なかなか難しいものがありますが、イラストを描いている人のすべてが、その後「公表」するとは言えないはずですから(公表を前提にしている場合が多いとは思いますが)、一律禁止は過剰という気がします。
写真撮影は論外としても、イラストについては、この記事の中の田島教授の、

少年審判ではなく公開された刑事裁判で、後ろ姿のスケッチさえも制約するのは過剰規制以外の何物でもなく、憲法違反の疑いさえある。

というコメントにもあるように、容貌がわからない形でのイラストも十分可能なはずですから、そういう観点から見ても、一律禁止は過剰という気がします。
記事では「少年法の精神に沿った判断とみられ」とありますが、少年法も「過剰規制」の根拠にはなり得ないでしょう。
我々国民としては、被告人の容貌がわからないまでもイラストによって法廷の雰囲気を知り得たにもかかわらず、こういった過剰の感がある訴訟指揮により、それができなくなったわけです。そういう意味でも、この措置を軽視できないと思います。
被告人や被害者等の人権をないがしろにできないのは当然のことですが、裁判は「公開」されているものであり、その点をわきまえない訴訟指揮は、違法という評価を受ける場合があるだけでなく、広く国民一般の支持を受けることも困難になると思います。