勾留16年、判決まだ 心神喪失の強殺被告、再犯を懸念

http://www.asahi.com/national/update/0317/TKY200903170180.html
http://www.asahi.com/national/update/0317/TKY200903170180_01.html

被告は92年10月、千葉県松戸市のガソリンスタンドで店長を鉄パイプで殺害し、現金約56万円を奪ったとして逮捕された。過去に統合失調症で通院歴があり、起訴前の2回の精神鑑定は、刑事責任能力がない「心神喪失」と責任能力はある「心神耗弱」とで結果が割れた。千葉地検松戸支部は「心神耗弱」の鑑定結果を採用し、逮捕から1年後に起訴に踏み切った。
ところが、裁判が始まると被告は通常の受け答えもままならず、再び精神鑑定したところ、「心神喪失」と診断された。これを受けて千葉地裁松戸支部が94年12月、公判停止を決定した。

公判手続が停止された後、勾留されたままで現在に至っているということですが、不起訴になったわけではなく、裁判で犯行時の心神喪失が認定されたわけでもないので、上げることも下げることもできない、宙ぶらりんの状態に陥っている、ということでしょう。極めて珍しいケースですが、法の隙間部分に入り込んでしまっているような印象を受けます。
少年法では、捜査段階の少年について、勾留に代わる観護措置、という制度がありますが、そういったイメージで、公判中に心神喪失により公判手続が停止されたような場合は、勾留に代わる措置入院、といった制度を導入し、心神喪失状態の解消を図るようにしないと、そういった状態の被告人にとっては、未決勾留が事実上の終身刑になってしまうという、刑事訴訟法が想定していない、由々しき事態が生じてしまうでしょう。現に、記事にある事件では、そういった事態が起きつつあります。