再調査めぐり苦悩深まる、組織ぐるみで虚偽説明か・社保庁

http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20041119AT1G1703I18112004.html

これって、結局、

「個々の職員による監修料名目の不明朗な金銭の受け取り」

と言うよりも、

社会保険庁という組織による、構造的な巨額背任事案」

ではないかと思います。
上記のような詭弁で切り抜けようとしたものの、行き詰まり、下記のような実態が隠し切れなくなった、ということでしょう。

社保庁分だけで毎年約1億円以上に上った監修料は外郭団体や出版社から7つの課の庶務担当職員が受け取り、大半を経理課に“上納”。経理課はプール金を各課の人数に応じて分配していたという内容。

この状態であれば、金銭は、「監修料」という実態がなく、また、個々の職員にも帰属していなくて、「社会保険庁」という組織に帰属しているとしか見えません。
手順としては、

1 随意契約で、実際に必要な金額以上の金額を「水増し」して発注
2 業者に支払った金のうち、上記の「水増し分」がキックバック(「監修料」として取り繕う)
3 実質的に、社会保険庁に帰属する「裏金」なので、庶務課から経理課へわたり、プールして、各課の人数に応じて分配するなどして、おもしろおかしく費消

ということでしょう。
警察が贈収賄罪として摘発した事件は、上記のような「水増し分」のごく一部が、社会保険庁という組織に帰属する形でキックバックされず、職務権限を持つ一部の木っ端役人に対し、現金とか接待などといった形で供与されたため、矮小化されたことにより、かえって職務と賄賂の対価関係が明確化して(皮肉な話ですが)、事件になった、ということなのでしょう。巨大な構造的背任の中では、一種の「落ち穂拾い」みたいなものです。
「裏金が社会保険庁に帰属しました」と言って、社会保険庁が所属税や法人税を納めるわけにも行かないので、個々の職員に「監修料」として帰属したように偽装して、所得税を納付していた、ということになります。実際は、個々の職員には帰属しない、社会保険庁の裏金なので、個々の職員は、今からでも可能な年数をさかのぼって修正申告して、納める必要がなかった所得税の還付が受けられるのではないかと思います(そんんなことをする正直者なら、そもそも、こういう違法行為はしないと言えばそれまでですが)。
これは、正に、構造的な「背任」事件そのものです。
こういった実態を、何とか隠し通したいからこそ、「監修料」などと必死に言い抜けようとしていたのでしょう。税金に寄生して貪る国民の敵としか言いようがありません。きっちりと責任をとってもらいましょう。捜査機関も、上記のような目でこの事件を見るべきだと思います。