<懲戒免職>名古屋国税職員を 親族の確定申告、脱税助ける

親族の確定申告書を不正に作って約1億円の所得を隠し、約5400万円の脱税を助けたなどとして、名古屋国税局は2日、同局総務部主査級の男性職員(55)を懲戒免職処分にした。親族が全額を修正申告し、職員が報酬を得ていないことから刑事告発は見送る。
国税局によると、職員は02〜08年、自営業者の親族の確定申告書を作成。経費水増しや架空計上する手口で所得額を少なく見せかけ、7年間で約1億円の所得を隠した。親族は申告書の作成を元職員に任せており、不正を知らなかったという。

珍しいケースですが、確定申告書の提出者に故意がなかったということになると、幇助犯がいるだけで正犯がいないということになり、刑事告発しようにも告発すべき罪名が見当たらないということになった可能性があります。事情を知らない親族を利用した間接正犯という構成も、そもそもこの職員に所得が帰属するわけではないので無理があるような気がします。
詐欺罪についても、確定申告の仕組みに照らすと、相手方(税務署長?)の処分行為により財物や財産上の利益を得るということにはならないはずで(あくまで「確定」申告である以上)、難しそうです。
この種の行為を税務署職員がやると、ばれても懲戒免職になる程度で、ばれなければやりたい放題というのが恐ろしいですね。