「はてな」問題について(いろいろなご意見に関する、ちょっとした感想)

はてな」問題(他により適切な呼び方もあると思うが、便宜上、こう呼ばせてもらう)に関する私の意見について、いろいろな方のご意見を、ブログ等で拝見し、非常に勉強になった。ここで御礼を申し上げたい。「表現がきつい」というご批判もあり、確かに、読み直してみると、そのような部分もあるが、いろいろなところで引用されたりしており、私利私欲に基づくものでもなく、違法性まではないと思うので、そのままにしている。そういったところは、適宜読み飛ばしていただきたいと思う。
ご意見の中で、「権利侵害が一旦行われると、取り返しがつかない以上、利用者から住所、氏名等を求め、権利侵害を抑止することは必要なのではないか」というものがあった。正論である。私の一連の主張の中でも、そういった考え方は当然ありうることや、私としても、そういった考え方を排除するものではないことは既に述べている。
しかし、そういった考え方に立つのであれば、①そのことを利用者にきちんと告げるべきであるし(これは既に述べた)、②住所、氏名等を求めることで、権利侵害防止の実効性があがる見込みも必要であろう(この点も既に若干触れた)。
①については、「はてな」側からきちんとした説明がなされているとは思えないし(そういう趣旨のことも言っているのかな?という下りもあるが)、②についても、単なる自己申告では、到底実効性は確保できないことは明らかであろう。
ランダムに150名程度について郵送による本人確認を行うと言っても、それ以外については行わないわけであるし、今後、仮に郵送による本人確認を励行したとしても、著作権侵害、名誉・信用毀損、ストーカー行為、わいせつ・児童ポルノ等に関する情報交換等々といったことを、ブログを悪用して行おうとする人々は、必ず、そういった本人確認の網の目をかいくぐって、違法行為を辞さない。
はてな」の説明からは、上記のような本人確認を励行するという説明も、そういった姿勢もなく、そもそも、今回の措置は、ファイルローグ事件についてプロバイダ等に対し極めて厳しい見方をしたとしても、不十分であり、「これで免責されますよ」といったものでは到底ないのである。
逆に言えば、それ自体が、「はてな」側が、現在、プロバイダ等が置かれている状況(なかなか厳しいものがあるのは事実である)を理解していない証拠であると言っても過言ではないと思う。
最後に一つ。ご意見の中で、私の主張を「楽観」論と捉えられた方がおられたが、実は、こういった問題について、私は楽観とは程遠いところにいる(このブログを読んでおられる方で、わかる方はわかると思う)。悲観はしていないが、裁判例等により、プロバイダ等に対し、過剰な法的義務が課せられたり、プロバイダ等が過剰な自己規制に走った場合に、不利益を被るのは誰か、それは利用者であり、国民であって、日本の国益上も大きな問題なのではないか、ということを、改めてよく考えてみる必要があるということを訴えておきたい。

追記

この問題は、現在、京都地裁で審理中のwinny幇助公判にも通じるものがあると考えている。どのように通じるかについては、いずれ、もっと考えがまとまった時点で述べたい。