ストリートビューの削除責任はGoogleにあり

http://www.itmedia.co.jp/anchordesk/articles/0903/24/news037.html

英国では3月20日にStreet Viewサービスが始動したが、翌21日には、ユーザーからの苦情を受けて、多数の写真がStreet Viewから削除された。例えば、ロンドンの繁華街ソーホーのアダルトショップから出てくる男性が写った写真や、パブの前の道路で嘔吐(おうと)している男性が写った写真などだ。

だが今回の騒動は1つ重要な問題点を提示している。それは、「Webサイトに投稿されたコンテンツについて、それを削除する責任を誰に負わせるべきか」という問題だ。

第一にStreet ViewのコンテンツはGoogleが自ら用意しているものであり、従ってGoogleは自ら管理することが可能なはずだ。それに、率直なところ、わたしにはGoogleのStreet Viewの画像をあちこち見て回って、何か不面目な場面で自分の姿が撮られていないかを確認する時間などない。

英国でもサービスが開始され、問題が噴出しているようですが、このコラムの著者が言っていることは、日本におけるしがない弁護士である私が言っていることと、基本的には同じことです。その意味では目新しさはありませんが、こういった当たり前のことが、なぜか実行されず、問題があったらお前たちのほうから言って来い、問題があるとわかったら削除してやるから、というグーグル側の姿勢がいつまでも続いているのが不思議です。コラム中でも、「Street ViewのコンテンツはGoogleが自ら用意しているものであり、従ってGoogleは自ら管理することが可能なはずだ。」とありますが、自らコンテンツを用意しているという点は重要で、それにもかかわらず管理しきれないのであれば、管理できるようにサービス内容を変更する、あるいはサービス提供自体をやめるという決断も必要になってくるでしょう。それがどうしてもできないのであれば、避けたいところではありますが、法規制ということも視野に入れざるを得なくなってくる可能性があります。

【西松献金】今後の捜査はどうなる 政界ルート追及は継続

http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/090324/crm0903241941032-n1.htm

小沢氏側が関与したとされる公共工事での受注調整は平成17年末、ゼネコン各社が行った「談合決別宣言」の前後までだったとされ、刑法の談合罪は時効とみられるが、その後も小沢氏が代表の政党支部には建設業者からの企業献金が続いており、小沢氏側が工事受注への便宜を続けていれば談合罪に問われる可能性がある。国の出先機関自治体への働きかけがなかったかについても慎重に捜査を進め、あっせん利得処罰法などに抵触する事実の有無も調べるとみられる。
一方、西松からダミーの政治団体などを通じて資金提供を受けていた自民党議員側にも、捜査の矛先は向けられることになる。献金やパーティー収入の金額が多かった二階俊博経済産業相尾身幸次財務相森喜朗元首相らの政治団体の会計責任者から事情聴取を行い、違法性の認識の有無を問うことになる。

起訴された小沢氏の秘書は否認、ということのようですが、秘書すら割り付けられない、小沢氏の事情聴取すらできない、という状態では、受注調整、あっせん利得といったあたりが立件まで至るのは難しそうな気がしますね。その辺は、起訴した政治資金規正法違反事件の中で、「悪情状」として、この人たちはこんなことをして政治資金をせしめてきたんですよ、国民をだましてきたひどい人たちなんですよ、という「検察ストーリー」を肉付けするために使われて終わり、というところでしょうか。
とはいえ、起訴事実について「形式犯性」は否めず、お金に色がついていない、という本質的かつわかりにくい問題もあって、検察ストーリーがそっくりそのまま裁判所に受け入れられるかというと、それほど簡単な問題ではなさそうという気もします。
今後、あり得ると思われるのは、小沢氏秘書の公判対策、バランスを取っているというアリバイ作りといった意味で、二階氏あたりの関係者が「生贄の羊」になるという展開でしょう。経済産業相という重要閣僚ですが、どうせ、つぶれかけの内閣で先もないことなので、4月以降の特捜部の新体制の下で、ちょっと捕まえておくかな、ということになる可能性はあるのではないかと思います。その場合、ちょっとやっておくか、という程度なので、ちゃっちゃと捜査をやって終わり、ということになるでしょう。
捜査に対し国民からかなりの反発を受け、上記のような捜査をやったとしても、徐々に衆議院議員総選挙が近づいて、事件は次第にやりにくくなるので、あくまで推測でしかありませんが、自民党関係者を槍玉にあげた程度で、夏前に捜査が最終的に終結、ということになるのではないかと感じています。
この種の捜査には、「入口」と「出口」があって、特捜部が入口から入った以上、出口も、特捜部だからここまでやった、事件としてやった意味があった、というものでなければならない、という、一種の宿命のようなものがあります。そのために、ヒラ検事や事務官は、昼も夜もなく酷使されるわけですが、本件では、本来、贈収賄事件が出口として目指されていたものが、不発に終わり、出口として見出されたものが野党第1党の党首、総選挙後の総理大臣とも目されている人物絡みの政治資金規正法違反事件であった、ということになりそうな予感がします。そうなってきた経緯の中での「国策捜査性」については、解けない永遠の疑惑ということで残りそうです。

畠山被告に2審判決 秋田の連続児童殺害

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2009032501000020.html

昨年3月の秋田地裁判決は、争点について検察側主張をほぼ認める一方で2事件とも計画性を否定、更生の可能性も挙げて死刑を回避した。

地裁判決の際に

秋田連続児童殺害 被告に無期判決 「計画性なし」死刑回避
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20080320#1205977262

でもコメントしましたが、控訴審でも原判決が維持された、ということについて、やはり、上記のエントリーでコメントしたような事情が大きく影響したのではないか、と改めて感じますね。テレビの報道でも、彩香ちゃん殺害について様々な疑問点を挙げているのを見ましたが、被告人自身の特異なパーソナリティということもあって、かなり微妙な事件であり、その微妙さが、豪憲君殺害の評価にも影響する面があって、死刑にまで踏み切るには裁判所を躊躇させるものがあったのではないかという印象を強く受けます。
特異な被告人による特異な事件として、日本犯罪史に残ることは間違いないでしょう。亡くなったお子さん達のご冥福をお祈りしたいと思います。

自由の女神の冠、公開へ 中枢同時テロ後に閉鎖

http://sankei.jp.msn.com/world/america/090325/amr0903251038007-n1.htm

自由の女神像は米国の象徴ともいえるため、テロを警戒して同時テロ後は内部の公開が中止されていた。04年8月には台座部分の内部までが公開されたが、冠部分までは狭い階段しか通じていないため、緊急時の安全面などを考慮して公開は見送られていた。

20年ほど前にニューヨークへ行った際、自由の女神を見に行き、かなりの時間、並んで内部を見た記憶があります。その際、冠部分まで入った記憶もありますが、確かに、狭苦しい場所だったように思います。
テロの脅威がなくなったわけではなく、慎重に様子を見ながら徐々に再開、ということになるのでしょう。

本庄・夫婦殺害、二審は死刑判決 一審の無期を破棄

http://www.asahi.com/national/update/0325/TKY200903250359.html

判決は、被害者の頭部や顔面に激しい打撃が加えられ、岩森被告が殺害後の短時間のうちに金目の物を物色していた点などを重視。殺害に計画性がなかったとする一審判決は誤りだと指摘した。その上で、「生活苦からの犯行とはいえ、そのような状況に陥ったのは無計画で忍耐力に欠ける生活態度に起因している。真摯(しんし)な反省の情も認められない」と批判した。

計画性や反省の情も考慮されてはいると思いますが、やはり、東京高裁は、強盗殺人事件で、かつ、殺害被害者が2名という重大な結果が生じているということを重視しているのではないかという印象を受けますね。厳罰化の流れの中で、その流れに沿った判決という位置付けが可能でしょう。
裁判員裁判が始まった後に、このパターンで、一審無期、高裁は有無を言わさず破棄自判、死刑、裁判員が何を考えどう判断しようが、俺様は高等裁判所の裁判官だ!といったケースが増えそうな予感がします。