【西松献金】今後の捜査はどうなる 政界ルート追及は継続

http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/090324/crm0903241941032-n1.htm

小沢氏側が関与したとされる公共工事での受注調整は平成17年末、ゼネコン各社が行った「談合決別宣言」の前後までだったとされ、刑法の談合罪は時効とみられるが、その後も小沢氏が代表の政党支部には建設業者からの企業献金が続いており、小沢氏側が工事受注への便宜を続けていれば談合罪に問われる可能性がある。国の出先機関自治体への働きかけがなかったかについても慎重に捜査を進め、あっせん利得処罰法などに抵触する事実の有無も調べるとみられる。
一方、西松からダミーの政治団体などを通じて資金提供を受けていた自民党議員側にも、捜査の矛先は向けられることになる。献金やパーティー収入の金額が多かった二階俊博経済産業相尾身幸次財務相森喜朗元首相らの政治団体の会計責任者から事情聴取を行い、違法性の認識の有無を問うことになる。

起訴された小沢氏の秘書は否認、ということのようですが、秘書すら割り付けられない、小沢氏の事情聴取すらできない、という状態では、受注調整、あっせん利得といったあたりが立件まで至るのは難しそうな気がしますね。その辺は、起訴した政治資金規正法違反事件の中で、「悪情状」として、この人たちはこんなことをして政治資金をせしめてきたんですよ、国民をだましてきたひどい人たちなんですよ、という「検察ストーリー」を肉付けするために使われて終わり、というところでしょうか。
とはいえ、起訴事実について「形式犯性」は否めず、お金に色がついていない、という本質的かつわかりにくい問題もあって、検察ストーリーがそっくりそのまま裁判所に受け入れられるかというと、それほど簡単な問題ではなさそうという気もします。
今後、あり得ると思われるのは、小沢氏秘書の公判対策、バランスを取っているというアリバイ作りといった意味で、二階氏あたりの関係者が「生贄の羊」になるという展開でしょう。経済産業相という重要閣僚ですが、どうせ、つぶれかけの内閣で先もないことなので、4月以降の特捜部の新体制の下で、ちょっと捕まえておくかな、ということになる可能性はあるのではないかと思います。その場合、ちょっとやっておくか、という程度なので、ちゃっちゃと捜査をやって終わり、ということになるでしょう。
捜査に対し国民からかなりの反発を受け、上記のような捜査をやったとしても、徐々に衆議院議員総選挙が近づいて、事件は次第にやりにくくなるので、あくまで推測でしかありませんが、自民党関係者を槍玉にあげた程度で、夏前に捜査が最終的に終結、ということになるのではないかと感じています。
この種の捜査には、「入口」と「出口」があって、特捜部が入口から入った以上、出口も、特捜部だからここまでやった、事件としてやった意味があった、というものでなければならない、という、一種の宿命のようなものがあります。そのために、ヒラ検事や事務官は、昼も夜もなく酷使されるわけですが、本件では、本来、贈収賄事件が出口として目指されていたものが、不発に終わり、出口として見出されたものが野党第1党の党首、総選挙後の総理大臣とも目されている人物絡みの政治資金規正法違反事件であった、ということになりそうな予感がします。そうなってきた経緯の中での「国策捜査性」については、解けない永遠の疑惑ということで残りそうです。