OAP土壌汚染事件 三菱地所社長ら起訴猶予に

http://www.asahi.com/national/update/0610/TKY200506100213.html

当時の両社幹部計10人と、法人としての両社を不起訴処分(起訴猶予)とした。

起訴猶予」ですから、起訴しようとすればできるわけで(それを猶予するということ)、犯罪の成立は認定されたということになります。そのことの重みを、関係者は深刻に受け止めるべきでしょう。
やってしまった犯罪行為は言語道断ですが、その後の対応は、徐々に、評価してもよいものになっていったようで、その辺が大阪地検に評価してもらえた、ということでしょう。破格の補償金を支払ったのに起訴、宅建の免許がとんでしまう、株価暴落、信用ますます失墜といった、目も当てられないようなことにならなくて、よかったですね。

教室に手製爆発物、57人重軽傷 傷害容疑で高3逮捕

http://www.asahi.com/national/update/0610/SEB200506100003.html?t1

これは、爆発物取締罰則違反でしょう。

第1条
治安ヲ妨ケ又ハ人ノ身体財産ヲ害セントスルノ目的ヲ以テ爆発物ヲ使用シタル者及ヒ人ヲシテ之ヲ使用セシメタル者ハ死刑又ハ無期若クハ7年以上ノ懲役又ハ禁錮ニ処ス

その高度の危険性故に、法定刑が極めて重くなっています。
傷害罪(殺人未遂罪が成立する可能性もあります)との関係は、観念的競合(1罪)で、処断刑は爆取のそれによる、ということになると思います。

公団理事賭けゴルフ、新会社の社長内定は取り消さず

http://www.yomiuri.co.jp/main/news/20050609i114.htm

理事は4月9日、山梨県内のゴルフ場で、公団の料金収受を請け負うファミリー企業の「ウェイザ」(東京都)役員(61)らとプレーし、1万円を賭けていた。刑法の賭博(とばく)罪に触れる可能性もある。
4月9日は、料金収受業務の入札で公団が導入した筆記・技能試験にウェイザが不合格となり、同月下旬の再試験に挑戦中(合格)だった時期にあたる。さらに、全国の高速道路のノンストップ自動料金収受システム(ETC)で、大規模なバー接触事故が発生した8日後で、全国の公団職員が休日返上で警戒中だった。

「可能性」じゃなくて、正に賭博罪が成立するでしょうね。「常習として」行っていれば、常習賭博罪(法定刑は3年以下の懲役)が成立します。正当化される余地はないと思います。
犯罪行為を犯しているだけでなく、全国の公団職員が休日返上で警戒する中、ゴルフに興じ、しかも、利害関係者と一緒にプレーするという醜態です。
西日本高速道路会社」という会社は、こういう思慮に欠けた犯罪者にも社長が務まるんでしょうか?

入試問題で「ひめゆり学徒体験談は退屈」 青学高等部

http://www.asahi.com/life/update/0609/007.html?t5

出題文は修学旅行で沖縄へ行った生徒は防空壕(ぼうくうごう)を体験した後、ひめゆり学徒隊の体験談を聞き、「正直言って、彼女の話は退屈で飽きてしまった。聞けば聞くほど防空壕の強烈な印象が薄れていった。彼女はその話を何回もしており、非常に話し上手になっていたと思う」と感想を持つ。問題では「なぜ筆者はひめゆりの話が好きでなかったのか」と聞き、「彼女の話しぶりが好きでなかった」など4つの選択肢から答えを選ばせた。

上記のような文章を読ませた上で、「なぜ筆者はひめゆりの話を聞いて、このような浅薄な感想しか持てなかったのか」を問えばよかったと思います。
選択肢としては
1 歴史、特に日本の近現代史や沖縄が置かれた状況についての理解がなかった
2 青山あたりで、おもしろおかしく学生生活を送っているうちに、他人の心情に共感することができなくなってしまった
3 他人の話をネガティブな印象でしか受け止められない、欠陥人間だった
4 「強烈な印象」を抱いた防空壕の中に、生身の人間がいたことの意味や深刻さを理解できるだけの能力すらなかった
といったものが考えられるでしょう(どれを選択しても正解?)。

青山学院高等部
http://www.agh.aoyama.ed.jp/
ひめゆり平和祈念資料館」
http://www.himeyuri.or.jp/

サイトのトップページで、「地の塩、世の光」などと言っている学校が、日本の勝利を信じて献身的な働きをしながら捨て石にされ多大な犠牲者を出したひめゆり学徒隊について、上記のような問題を出すことは許されないでしょう。

「青山学院教育方針」
http://www.agh.aoyama.ed.jp/hoshin/policy.htm

青山学院の教育は
キリスト教信仰にもとづく教育をめざし、
神の前に真実に生き
真理を謙虚に追求し
愛と奉仕の精神をもって
すべての人と社会とに対する責任を
進んで果たす人間の形成を目的とする。

沖縄戦の実状を徹底的に学び、そこで生じた犠牲の甚大さ、現在まで尾を引くあらゆる影響に深く思いを致した上で、上記のような問題をぬけぬけと出し、発育過程にある受験生に読ませることが、上記のような教育方針に照らして正しいことなのかどうか、「神の前に真実に生き」と言えるかどうか、よく考えて猛省すべきでしょう。

窃盗容疑で誤認逮捕 滋賀県警虎姫署、男性に謝罪

http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2005060900214&genre=C4&area=S00

指宿教授のブログ経由で知りました。
以前、

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20050128#1106841589

で、私自身の過去の体験を述べたことがありますが、無実であることが客観的に明らかな人間であっても「自白」してしまう場合があるという怖さは、特に、裁判官、検察官、裁判員になる方々は認識しておくべきでしょう。

「なりすまし」と電磁的記録不正作出罪

以前、

情報の虚偽入力と電磁的記録不正作出罪
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20041122#1101120301

と指摘したことがありますが、インターネット上の、いわゆる「なりすまし」についても、人格の同一性を偽っているという点で「虚偽情報の入力」に該当し、上記エントリーで指摘したような犯罪が成立する可能性があると言えるでしょう。