「ブッダという男ー初期仏典を読みとく」

 

私自身は特に信仰もなく宗教心といったものはありませんが、東京地検公安部に在籍していた当時、連日、オウム真理教の信者を取調べていた時期があり、仏教について知識がないと話が成り立たないので、書店で仏教関連の本を買っては読んでいたことがありました。それ以来、宗教そのものにはそれなりに関心が出てきて、宗教関連本は時々読むことがあります。これは、最近出たようですが、Amazonでベストセラー表示が出ていたので、興味を感じて通読してみました。

初期仏教(私的には原始仏教というほうがイメージしやすいですが)の教義に関する本書の叙述は難解で、私にはわかりにくいものがありましたが、ブッダが、当時の人間として、現代においてあるべきものとされている差別は許されないとか男女平等といった価値観を持っていた訳ではないという著者の主張には納得できるものがあり、こうあってほしいブッダ像と実際のブッダ像は切り分けて考える必要性を感じました。著者の主張には異論も少なくないようで、他の見解も、今後、読んでいく必要性も感じました。

取調べたオウム真理教の信者、特に幹部信者からは、原始仏教チベット密教を学ぶように繰り返し言われ、その余裕もなくて現在に至っていますが、細々とであっても、こういう分野の本も読んでいきたいと改めて思いました。