オウム真理教:出頭の平田信容疑者を逮捕 容疑を一部否認

http://mainichi.jp/select/jiken/news/20120101k0000m040087000c.html

逮捕容疑は、95年2月28日午後4時半ごろ、松本智津夫麻原彰晃)死刑囚(56)らと共謀し、東京都品川区上大崎3の路上で、仮谷さんをレンタカーに監禁。山梨県上九一色村(当時)にあった教団施設に連れて行って薬物を注射し、同年3月1日、気管閉塞(へいそく)などで死亡させたとしている。

平田容疑者は95年4月に教団に好意的な論評をしていた宗教学者が以前住んでいた東京都杉並区のマンションで時限式爆発物を爆発させたとして、同年5月に爆発物取締罰則違反容疑で指名手配された。

私は、平成7年4月から平成8年7月まで、東京地検公安部に所属していて、その間、オウム真理教関連事件の捜査にあたっていたことがありました。当時は、公安部で検事としては最も若く(31歳から32歳にかけての頃でした)、主任検事の指示の下、次々と、いろいろな被疑者や参考人を取調べていた状態でした。若き取調官として動いていたことになります。
当時のオウム真理教の捜査は、警視庁内で、地下鉄サリン事件等の重大殺傷事件は刑事部が担当し、公安部が、警察庁長官狙撃事件解決を目標に、主として、オウム真理教諜報省が関与していた周辺事件を担当する、という役割分担になっていて、それぞれ、東京地検刑事部、公安部が対応していました。仮谷さん事件は、警視庁刑事部東京地検刑事部が、上記の爆発物取締罰則違反事件は警視庁公安部・東京地検公安部が、それぞれ捜査を行い、私も、爆取の事件のほうは、関係者の取調べを行った記憶があります。
平田容疑者は、諜報省で、様々な活動に従事していた立場で、今後、上記の2事件について、既に行われた関係者の取調べ結果にも基づき、取調べが進められるはずですが、既に時効が成立しているものの、警察庁長官狙撃事件への関与が取沙汰されて来た人物でもあり(既に報道等で指摘されているように、射撃経験があり人物像に似ていることから、狙撃の実行犯ではないかと言われていました)、今後、その点についても、捜査の中で取調べの対象になる可能性が高いでしょう。
また、上記の2事件には、既に死刑判決が確定した複数のオウム真理教関係者が(確定判決の認定によると)共犯として関与していて、2事件とも裁判員裁判対象事件ということにもなり、平田容疑者が起訴されれば(その可能性は高い)、公判での証人出廷の必要性(弁護人申請という可能性を含め)から、今後、問題となる死刑執行問題に影響を及ぼす可能性が高いでしょう。その点を狙った、現時点での出頭という可能性も否定はできないと思います。
今後の捜査の行方が大きく注目される、正月早々、驚かされた突然の出頭でした。