松本死刑囚を唯一自供させた元検事が語る

http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/nnn?a=20150320-00000043-nnn-soci

「調書サインしたよ。『松本智津夫』って書いてた」−1995年、逮捕された松本死刑囚の取り調べを担当した元検事の宇井稔さん(62)。宇井さんの取り調べに対し、当時、松本死刑囚坂本弁護士一家の殺害を指示したことを認め、一連の事件の中で唯一、犯行を認める自供となった。ただ、責任を弟子になすりつけるような発言も多かったという。

宇井氏は、上記の取調べ当時、東京地検刑事部に在籍していたはずで、翌年の1996年春から夏前に、私が公安部から特捜部に駆り出されていろいろな事件の応援をやらされていた当時は特捜部に移っていて、宇井氏の下で連日連夜、いろいろな被疑者や参考人を取り調べていたものでした。その当時以来会ったことはないので、映像とはいえまじまじと見るのは約19年ぶりでしたが、私も年を取ったが宇井氏も同様だなと思いました。
地下鉄サリン事件から今日で20年、私自身も、自分が様々なオウム真理教信者を取り調べていた当時のことがいろいろと思い出されてきて、楽しい思い出ではないだけに複雑な心境になるのですが、オウム真理教が引き起こした様々な事件は、現在のISIS(イスラム国)など宗教を標榜する組織によるテロの先駆となった面があるのではないかと思います。宗教といえば、人を愛し命を大事にする、という印象を一般人は持ちがちですが、宗教が陥りがちな独善の先には教義と合わない者を敵視し徹底的に排除しようとする、邪悪な行いがあり、宗教が宗教としての在り方から逸脱して世俗の欲望や権力と一体化すれば、宗教の名の下に様々な悪事が働けてしまう、その危険性を如実に示し世間に知らしめたのがオウム真理教であったという気がします。
信教の自由は最大限保障される必要がありますが、その危険性が顕在化して人や社会に対して牙をむいてくる、そういう危険性もあるということを、社会が常に意識し注意深く臨み、警察等の機関が必要な情報収集を怠らず、いざとなったら迅速に動くべき機関が動いて人々の生命、身体、財産を守る、そういうことを地道にやっておくべきことが、オウム真理教やそれが引き起こした事件から導かれるべき教訓ではないかと思います。