知的障害ある女性が乳児を殺害 説明できない「供述弱者」をどう理解

知的障害ある女性が乳児を殺害 説明できない「供述弱者」をどう理解(朝日新聞デジタル) - Yahoo!ニュース

裁判員裁判の流れを変えたのは、精神鑑定医の証言だった。女性のIQは53(同年齢の平均が100)。一見ではうかがい知れないが、「感情を揺さぶられる体験が苦手で、衝動性が高い」「抽象化能力が低く、話を理解できても説明が苦手」なのだという。女性の様子を的確に説明していた。

この裁判の取材を通して、「供述弱者」という言葉に初めて触れた。捜査や裁判で、自分が置かれた状況の理解や説明がうまくできなかったり、捜査当局に迎合する供述をしたりする人を指す。朝日新聞紙面にもこれまで十数回しか出ていない言葉だ。

私自身、検察庁にいた当時は数千名くらいの人の取調べをやったと思いますが、ごく普通の生活を営んできていても、調べてみると知能指数がかなり低かったり、話がうまくかみあわず供述能力に問題がありそう、といった人が、ごく少数ですがいたことが思い出されます。

そういう場合に、供述を押し付けて捜査機関のストーリーに沿った供述調書を作成していくのではなく、供述能力を慎重に見極めながら、客観的状況との整合性もよく見ながら、供述でどこまで認定でき、認定できないのかを見極めていく必要があるでしょう。警察捜査では難しそうですが、法律家が行う検察捜査では、警察捜査にただ単に乗っかるのではなく、法律家としての視点も踏まえて、様々な角度から事件を見ていくべきだと思います。

そういった危険性に警鐘を鳴らす記事だという印象を受けました。