「仁義なき戦い 菅原文太伝」

 

 ごく最近出た本ですが、たまたま新聞広告で知り、興味を感じて読んでみました。菅原文太逝去後、既に6年余りになります。

著名な映画スタートしての姿や、晩年の反原発等に活動する姿が強烈だったのですが、これを読み、生い立ちや俳優としての軌跡、愛息の事故死後の失意の中での晩年の姿がよくわかり、読んで良かったと思いました。著者は、様々な文献を丹念に参照し、また関係者からの聞き取りを丁寧に行なって、等身大の菅原文太像を描き出そうとしており、それは成功していると思います。読者は、人として、俳優としての菅原文太の実像に肉薄したという実感を得ることができます。

歴史、人生で、あれがなかったらと言うのは虚しいものですが、菅原文太にとって、愛息の事故死がなければ、晩年に、もっと俳優としての活動があったように思いますし、違った生き方もあったように、本書を読んで感じました。

今後、菅原文太が語られる際の有力な評伝になるような気がします。