一昨年来、大河ドラマ「騏驎がくる」の関連で、明智光秀を取り上げた本を、複数読んできたのですが、今年初めに出たこれもおもしろそうだったので、最近になって読みました。
史料に依拠しつつ、明智光秀の足跡を丹念にたどっていて、素人である私には、やや読みづらくもありましたが、推測や決めつけを排した、「史料に基づく明智光秀像」を思い描く上で有益な読書となりました。
他書では、本能寺の変の原因、動機について紙幅を割いているものが多かったのですが、本書ではあっさりとした記述になっています。ただ、著者が、明智光秀の書くものが、時を経るにつれて高圧的で自信あるものに変化していて、その辺本能寺の変につながるものがあったのではないかと指摘していたのは印象的で、意外とそういう単純なところに原因があったのかもしれません。人間、自信がつき自分自身への評価が上がれば、ここで思い切って踏み出そうと考えがちで、そういう誘惑に大きく影響された結果が本能寺の変であったのかもと、本書を読みつつ感じるものがありました。
時間を措いて、また読んでみたいと感じています。