http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20090212#1234420139
でコメントした事件ですが、いまだに、何となくもやもやしてよくわからないものの、いわゆる択一的認定の問題ではないかと思い、昔々に読んだ

- 作者: 中野次雄
- 出版社/メーカー: 成文堂
- 発売日: 1987/01
- メディア: 単行本
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を引っ張り出し、択一的認定に関する論文を読んでみました(171ページ以下)。ちなみに、この論文集は、実務家としても研究者としても高名であった著者の真髄がで出ていると言っても過言ではないもので、著者が経験した戦前の陪審裁判も紹介されていて、久しぶりに少し読んでみて勉強になりました。
上記のエントリーで触れた事件ですが、殺意をもって首を絞めたということが肯定され、死因が、頸部圧迫による心停止か、あるいは、頸部骨折で身動きできなくなった後に通りかかったタンクローリーに頭部をひかれた脳挫滅のいずれかである、ということまで確定でき、他の可能性はない、ということが言えるのであれば、後者についても、首を絞めた行為との因果関係は肯定できると思われますから、殺人罪という同一構成要件が問題になる中での択一的認定として、「AまたはB」により死亡した、という認定の下での有罪宣告が可能であり、そう考えないと、非常に不合理、非常識な結果になってしまうように思います。
択一的認定が問題になるケースは、実務では稀ですが、このように実際に問題になることもあるということでしょう。