名簿業者の立件見送りへ 違法性の認識否定で困難

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/140803/crm14080309030003-n1.htm

捜査関係者によると、顧客情報には、ベネッセの通信教育サービスの「進研ゼミ」を連想させる「進研太郎」名義などのダミー情報が含まれていた。不正流出を疑って転売を見合わせた業者も確認されており、生活経済課は、千代田区の名簿業者が不正を認識した上で購入した可能性があるとみて捜査を進めていた。

不正競争防止法は、情報を「不正入手された営業秘密」と認識して直接受け取った場合にのみ刑事罰を科しており、認識できなかったことに過失があっても罪に問われない。捜査幹部は「今回の情報拡散の責任の一端は名簿業者にある。名簿業者に出所の確認義務を課し、重大な過失があれば刑事責任を問えるようにするべきだ」としている。

盗品等を受け取ったり買ったりした側の認識も同様ですが、やばいものをやばいと「知って」受け取った、という立証は、相互の関係が元々ないほど、主観面(内心)の立証であるだけに難しいものです。
昔、司法修習中に、昭和の終わりですから当時はビデオデッキが高値で売れる頃で、盗品が次々と持ち込まれている質屋があって、これだけ新品のビデオデッキを同じ人物が持ち込んできて質屋は盗品という認識があるんじゃないですか、なぜ警察は立件しないんですかと公判部の検事に聞いたところ、その検事が、そんなことは質屋もわかっているし警察も承知の上だが質屋を立件してしまうと盗品の裏付けが取れる受け皿がなくなって困るから警察はわざと泳がしているんだよと言われ、なるほどと思ったことがありました。
名簿業者の場合には、そのようにして「泳がせておく」意味もメリットもないと思いますが、名簿業者に確認義務を課す法制度になれば、出所不明な名簿が膨大に出回っている状況の下、名簿業者は地下に潜ることになる可能性が高く(それはそれで怖い面があります)、こういった情報の流通の在り方全般を検討する中で、どういった処罰が適当かも考える必要があるでしょう。