受刑者の選挙権 「制限は違憲」には疑問が多い(10月13日付・読売社説)

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20131012-OYT1T01234.htm

社会防衛上、受刑者を服役させ、自由を奪う自由刑を採用している日本では、選挙権の制限は、刑罰の法的効果の一つとして捉える傾向が強い。

本来、重要な憲法判断は、判決が判例として拘束力を持つ最高裁に委ねるのが筋である。

疑問が多いのは、この社説のほうではないかと感じますね。
刑罰の目的を社会防衛と捉える、というのは、かなり古めかしい考え方ではないかと思いますが、仮にそのように捉えるとしても、受刑者から選挙権を奪うことで、どういう社会防衛の効果が出るのか、ということでしょう。むしろ、受刑者が受刑によりやむをえず制限される権利以外は、できるだけ行使できたほうが、人権への制約をできるだけ少なくし出所後の社会復帰にも役立つもので、受刑者の選挙権を一律に制限する現行法制に疑問が持たれ、違憲という判決が出てくるのは必然、と私は思います。
また、社説では、違憲法令審査権は最高裁だけが行使すべきかのように言いますが、日本国憲法における「法の支配」を、憲法を頂点として徹底するためには、法令の解釈適用を行う、下級審までのすべての裁判所が違憲法令審査権を行使できなければ、最高裁の判断がない限り、下級審は、違憲と判断した法令を適用せざるを得ないことになり、法の支配が大きく崩壊してしまいかねません。そのような、ちょっと勉強すれば中学生でもわかるようなことを、読売新聞はどのように考えているのでしょうか。こういう不見識な見解を、社説として出す恥ずかしさ、というものを、少しは感じてほしいものです(感じないと思いますが)。