集団的自衛権の行使容認=憲法解釈変更を閣議決定―安保政策、歴史的転換

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140701-00000122-jij-pol

閣議決定の核心は、自衛権発動の要件緩和だ。従来は「わが国に対する急迫不正の侵害の発生」としてきたが、「わが国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃」で、国民の権利が「根底から覆される明白な危険がある場合」は自衛権を発動できると改めた。他に適当な手段がないことと、必要最小限度の実力行使にとどめることとした要件は維持した。 

私は、これについて、大きく2点で疑問を感じています。
1点目は、従来、政府が繰り返してきて、誰が見ても確立していた憲法解釈(集団的自衛権を、我が国は有するが憲法上行使できない)を、いとも簡単に変更してしまったことです。法令の解釈には、字義、論理等々により、変更できるものとできないものがあり、これまでの政府解釈が、確立した、練り上げられ精緻になった説得的なものであっただけに、その変更は、解釈の限界を逸脱しているのではないかと私は率直に感じていますし、そう感じている人は、おそらくかなりの数にのぼるでしょう。国政選挙において争点にされるでもなく、単に内閣や与党の決定でこのような事態になってしまうことに、立憲主義の危機を感じざるを得ません。
2点目は、日本の安全保障上、このような憲法解釈変更が真に必要であったのか、また、従来の憲法解釈が、日本を戦争に巻き込むことの大きな歯止めになっていたのが歯止めを失うことにならないかという懸念です。上記のような、「わが国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃」、「国民の権利が根底から覆される明白な危険がある場合」という要件は、文言としてはかなり厳格なものではありますが、所詮は閣議決定レベルのものに過ぎず、一旦、行使が認められてしまった集団的自衛権について、なし崩し的に拡大解釈が行われる危険性はかなり大きいのではないかと懸念されます。現状で、日本の安全保障上、従来の憲法解釈を維持しつつ、下位法令の解釈変更や新たな立法措置等により相当程度対応できたのではないか、そのような検討、工夫が十分に行われないまま、「まず憲法解釈変更ありき」で突っ走ってしまったのではないかと、大きな疑問を感じています。
閣議決定によるものですから、今後の閣議決定による見直しも可能なはずであり、真にあるべき憲法解釈、安全保障上の措置という観点から、今後も検討が重ねられなければならないでしょう。