【PC遠隔操作事件】なぜ犯行場所を特定できないのか…弁護側が追及

http://bylines.news.yahoo.co.jp/egawashoko/20130501-00024668/

すでに起訴された3件についても、起訴状では犯行日時は書かれているのに、犯行場所や使用PCについては曖昧な記載になっているという。この3件のうち2件は、犯行日時には片山氏はやはり派遣先にいたらしい。にもかかわらず、犯行場所が特定されていないのは、派遣先から押収したPCに、犯行を裏付けるものがなかった、と佐藤弁護士は見ている。

証拠構造、立証構造が見えていないので、あくまで推測ですが、現在までの報道によると、捜査機関が重視しているのではないかと思われる証拠として、

1 FBIが押収、解析したとされている、米国内のDropBoxサーバー内に残っていた情報における「痕跡」
2 被告人の勤務先で押収されたPC内に残されていた「痕跡」
3 江の島の猫の首輪から回収された情報媒体(被告人が取り付けたものと捜査機関はおそらく推認)内にあった遠隔操作ウイルスに関する情報

があると思われます。それらが、どのような関係に立つのか、どのようにつながると捜査機関が考えているのか、具体的には不明ですが、それらが結びつきあうもので、それが、一体となって被告人の犯人性を裏付けていると考えているのではないか、という気がします。
ただ、複数の事実が結びつきあって被告人の犯人性が裏付けられている(と捜査機関が考えている)ものの、特定のどのPCを使って、どの場所で、という犯行態様までは特定できない、と、起訴にあたっては考えられているのではないか、と推測されます。その意味では、佐藤弁護士が指摘するように、「派遣先から押収したPCに犯行を裏付けるものがなかった」可能性は高いものの、それは、犯行そのもの(起訴状で犯行日時が記載されている)をそのPCから行ったとまでは言えない、ということで、そのPCから犯行を行ったかもしれないし自分の持っているPC(持ち運んでいるノートPC)かもしれないし、特定はできないが、被告人が犯行に及んだことは明らか(被告人以外に犯人はいない)である、という、そういう証拠、立証構造ではないか、と感じます。
わかりやすく例え話で言うと、殺人事件で、犯人がどの場所からどのけん銃(発見されたけん銃と被告人は結びつかない)を使って銃撃したかはわからないが、犯行と被告人が証拠により結び付けられ他に結びつくものがなく被告人が犯人であることに合理的疑いはない、それと同様の見立てを捜査機関がしている、ということでしょう。
もちろん、そういう見立てが裁判所により是認されるかどうかはわかりません。
今後、開示される証拠から見えてくる具体的な証拠構造、立証構造を慎重に見る必要があると思います。