http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20121007-OYT1T00391.htm?from=ylist
男性は7月29日、HPの市政への意見募集欄に「(大阪・日本橋の)オタロードで大量殺人する」などと書き込み、警察官に付近を警戒させたなどとして8月に威力業務妨害容疑で逮捕された。任意聴取の段階から「全く身に覚えがない」と否認していたが、9月に偽計業務妨害罪で起訴された。
ところが、起訴後、男性が書き込みに使ったとされるパソコンは、犯行時には第三者が遠隔操作できるプログラムが組み込まれた状態だったことが判明した。押収時にはプログラムは削除されていたという。
こうした、第三者のPCを踏み台、bot化して様々な不正行為をはたらく、という形態は、以前からある手法で、それだけに、IPアドレス等で発信元が特定できても、さらに慎重な捜査が必要である、というのは、サイバー犯罪のイロハですが、そうした慎重な捜査がどこまで行われていたのか、ということでしょうね。未知のウイルスに感染するなどして解明が難しかった、といった事情があったのかもしれませんが、脅迫した対象のサイトへのアクセス状況など、押収したPCで、できる解明は様々にあったはずで、そうした点も含めた捜査がどこまで徹底されていたのか、今後の捜査への影響もあり、気になるところです。
さらに感じたのは、ごく普通に生活している人がとんでもない犯罪を起こした嫌疑で検挙されていて犯行を強く否認している、嘘をついているようには見えない、証拠はその人のPCやログしかない、PCやログを見る限り犯人であるかのように見えるが、第三者により踏み台、botにされた可能性があるし、これは何か隠れた事情があって見落としているのではないか?そもそも自分のPCを使い無造作、無防備にこのような犯罪を犯すか、調べればすぐにわかることなのに?といった発想ができる、正しい心証を持つ能力、洞察力、人間力といったものが、やはり捜査官、特に起訴、不起訴を決定する立場にある検察官には必要なのではないか、ということですね。頭が良くて事務処理能力が高くても、こうした能力がない人は多く、そうした、大切なものが欠落したいびつな秀才集団に検察庁がますます成り果てているのではないか、ということも気になるところです。しがない弁護士は、そういったことも、無力なまま草葉の陰で憂慮しています。