http://mainichi.jp/select/news/20120608k0000m040015000c.html
高検は決定を不服として、同高裁に異議を申し立てるとともに、職権で刑の執行停止を取り消すよう求めたが、決定を出した高裁刑事第4部と、異議審を担当することになった同刑事第5部は刑の執行停止取り消しを認めなかった。
刑訴法448条は、
1 再審の請求が理由のあるときは、再審開始の決定をしなければならない。
2 再審開始の決定をしたときは、決定で刑の執行を停止することができる。
と定めていますが、刑訴法450条では、448条1項の決定に対する即時抗告(確定有罪判決が高裁判決である本件では異議申立)のみが認められていて、2項の刑執行停止に対する異議申立は認められていません。また、そもそも刑訴法428条で、高等裁判所の決定に対しては、異議申立が認められている場合を除き、抗告できません。1つの可能性としては、「この法律により不服を申し立てることができない決定又は命令」ということで、刑訴法433条により最高裁判所に特別抗告を申し立てる、という方法も考えられなくはないですが、特別抗告申立に必要な刑訴法405条規定の事由(憲法違反等)は、こじつけなければ見当たらず、そういうわけにも行かないと考えて、検察庁は、上記の記事にあるように、職権での取消しを求めたのでしょう。そういった職権取消しがそもそも認められるのか、という法律問題もありそうですが、高裁により認められなかったことから、釈放、ということになったものです。
刑事手続の中で、元被告人を拘束する手段は見当たらず、今後、強制退去になる、ということは確実でしょう。