公認会計士、合格しても4割浪人 合格者増・不況が原因

http://www.asahi.com/business/update/0218/TKY201102180518.html

金融庁は06年、「一般企業など幅広い分野で活躍が期待される」として、合格者数をそれまでの1千人台から2千〜4千人台に増やしたが、監査法人以外への就職は依然として進んでいない。監査法人の内定者が全体の89.7%だったのに対し、一般企業と役所は計6.8%。前年の2.1%より増えたものの、「大半の企業は欲しがらないし、合格者も行きたがらない」(金融庁幹部)という状況だ。一般企業では資格取得の要件である会計実務を積める保証がないことが、合格者が敬遠する最大の理由という。

公認会計士の場合、記事にあるような、資格取得のための会計実務習得の必要があり、司法修習を終えて「即独」も可能(それでやって行けるかどうかはどもかく)な弁護士以上に、就職難は深刻でしょうね。
私は弁護士なので、どうしても司法試験を念頭に置いて、この種の資格試験を論じることになってしまいますが、私が合格した頃の司法試験のように、合格率が2パーセント、3パーセントといった資格試験は、資格試験として異常であり、十分な資格のある人がなかなか合格できず苦しむということも起きてきて望ましくない、と思います。最低でも、合格率は2割、3割程度である必要があるでしょう。養成過程が適切に機能していれば、5割程度の合格率が望ましいという気がします。
資格試験である以上、一定のレベルを満たし資格付与に適していると判断されれば合格させるのが筋でもあると思います。就職できない人が多いから、だから合格者を減らす、というのは、本末転倒と言うしかないでしょう。
ただ、そういう状態になれば、資格を取得しても、需給関係で供給が過大になるということは避けられませんから、現在の弁護士業界や公認会計士業界のような状態になるのは必然です。既に資格を取得している人は、そうなることの覚悟が必要であり、これから資格を取得する人は、幻想を捨て現実を見て、それだけのリスクがあるということを十分わきまえておく必要でしょう。
現状は、従来の、ギルド的な、少人数の資格者が、需給関係が需要過多に大きく偏った状態の中、うまみを享受していた状態が崩れ、新たな秩序が生まれる過渡期にあるのではないかと私は感じています。